保護者からのメッセージ
京都LD親の会「たんぽぽ」会長 松村 哲宏
平成11年7月に報告された「学習障害児に対する指導について(報告)」を受け、平成12年度からモデル事業が開始されました。そして平成15年3月、「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」が報告されました。
平成11年から「いつになったら、自分の子どもに適切な指導をしてもらえる『順番』が来るのだろう」という想いが募っていた親にとって、「やっと、これで私の子供にも学校で日が当たる!」という嬉しさでいっぱいです。
「特別支援教育」に寄せる親の想いは、たいへん大きなものなのです。
今まで、子どもの特性がなかなか理解してもらえなかったり、適切な指導を受けられなかったりして、親も子どもも大変な苦労を強いられてきたのです。また、不適切な対応の結果、二次障害が起こり、不登校になる子どももいました。今回の最終報告により、各地の教育委員会でも軽度発達障害についての研修や指導方法の研究がされ始め、少しずつ理解の輪が広がってきました。これからは学校も教師も「理解出来ない」「対応出来ない」と言えない状況になってきたことは、親や子どもにとってとても画期的なことなのです。
正直、軽度発達障害のある子どもを持つ親も、子育てに悩んでいます。日々の生活の中でひとつひとつのことを教えるのにとても時間がかかる。同じことを何度言ってもなかなか身に付かない。「どうすれば目の前の課題をクリア出来るのか」、親はあの手この手を工夫しながら、手探りで日々奮闘しているのです。子どもの方も同じことを何度も言われる。年齢が上がってくれば「なぜ自分は出来ないんだろう」と色々悩み、苦労しています。
このように、親も子もお互いにとても大変な思いをしています。学校・教師の支援がなければ、とてもしんどいことなのです。ましてや、学校・教師の理解がなければ、とても辛い状態になってしまうのです。
今、盛んに、子育てには「学校・地域・家庭」の連携が不可欠と言われていますが、軽度発達障害のある子どもにとっては、「学校・地域・家庭」の連携なくして健やかな発達を図ることは難しいと思います。さらに、相談機関など専門家との連携も欠かせません。確かに学校・教師は「教育のプロ」かもしれません。しかし、医療的な対応が必要な子どもに対してはどうでしょうか。胸を張って「プロです。」と言えるのでしょうか。プロでない部分は、その道のプロの助言なり指導を受けることが大切ではないでしょうか。
子どもは、一日の大半を学校で過ごしています。学年が上がってくれば、起きている間は、家で過ごすより学校で過ごす時間の方が長くなってきます。学校では先生方が困るような問題がなくても、そのストレスを家で発散し、「家では大変」という状況もあります。
このように、「連携」は欠かせないものなのです。
「特別支援教育」は決して「特別扱い」ではありません。必要な配慮です。子どもは一人一人みな違いますが、軽度発達障害のある子どもたちは理解の仕方が人とは少し違うのです。「特別支援教育」を充実させ、「個を大切にする教育」を行っていくことによって、「特別支援教育」なんて大袈裟なものが要らなくなる時が来ることを期待しています。