特に行動上の問題が見られるときの対応


 
「教室を飛び出してしまう」「他の子どもに手を出してしまう」等の問題が見られる場合は、担任にとってさし迫った課題となります。また、児童生徒自身にとっても二次的な課題が生まれやすくなり、時間がたつほどストレスをためていきます。特に、他の児童生徒を傷つける言動がみられる場合は緊急な対応が必要となります。



本人を励まし続けるキーパーソンの存在が大切です。

どのような場合も、担任と子どもとの基本的な信頼関係がなければなりません。担任が否定的な気持ちでいては、行動の改善は難しく、成果はみられません。何よりも、担任等が本人を励まし続けるキーパーソンになることが大切です。



冷静に整理しましょう。

どのようなときに、どんな動きをするかを観察し、記録します。どのように働きかけたらどうだったかなど、指導や支援内容との関わりで見ていくことも大切です。
なぜそのような動きをするのか要因を考えてみましょう。本人に聞いてみることも有効です。



整理し、仮説を持って働きかけてみましょう。

@改善すべき行動、A無視する行動、B良い行動と大まかに分けてみて、次のように働きかけてみましょう。
@は一貫した方針、厳しい姿勢で対応する。(@の中で、最優先して取り組みたい改善行動を、本人と話し合って目標にする。なお、目標は欲張らず、「少し頑張れば達成できるもの」にすることが大切です。)
Aは、気になる行動でも、差し当たって不都合がなければふれない。少なくとも、本人へのマイナス評価刺激を避ける。
Bはことさら大きく褒める。



本人が理解でき、励みになる評価を行いましょう。

本人のがんばり、達成感を保護者とも共有し、共に励まして取り組むことが大切です。 カードやポイント表を作成したり、カレンダーを活用したりして、本人が見て成果を確認できるようにすることが特に重要です。 初めのうちは、ごほうびを「強化子」として置くことも効果的です。大好きなゲームや喜ぶことを「○○を頑張ったら〜ができる」と、本人と話し合って決めればよいでしょう。そして、次第にクラスの他の子どもたちと同じ条件で取り組めるようにしていきましょう。



保護者との連携や特別な学校体制について

特別な教育的支援が必要な子どもへの支援にあたっては保護者との連携や校内委員会での検討による支援が必要ですが、緊急な対応が必要な場合には特に重要です。 いち早く保護者と連携し、共通認識の基に要因を分析して対応方法を考えましょう。  その場合、問題となる事実を保護者に連絡することは必要ですが、問題事象だけを羅列して保護者に伝えても、ましてや教師が困っている行動を保護者の力で何とかしてほしいと求めても事態は改善しません。それどころか、学校と保護者との溝を深めることにもなりかねません。「子どもの問題事象を子どもや親の責任にはせず、教職員の力を結集して取り組むことを前提に、保護者と共に育てる」姿勢で対応することが何よりも大切です。  なお、必要があれば、保護者の了承のもとに担任外の支援を検討し、他の教員が関わることも有効です。特に、他の児童生徒に危害が及ぶ場合は、双方の安全確保のために、支援体制を校内全体で組む必要があります。


目  次 はじめに 構成と使い方

第1部
1.聞くことが苦手 2.うまく話せない 3.読むことが苦手 4.うまく書けない
5.計算が苦手 6.文章題が苦手 7.まわりが気になって 8.わかってるんだけど
9.衝動的に動いてしまう 10.人との関係が 11.コミュニケーションが 12.なにか気になって
・不器用な子ども ・行動上の問題

第2部
・学校体制 ・学校を支援するシステム ・宇治市における取組

第3部
・精神科医から ・小児科医から ・作業療法士から ・臨床心理士から
・保護者から ・保護者の手記 ・Q&A