各校の校内委員会やコーディネーターを支援できるしくみが期待される
「子どもを支援する人を支援する」しくみを重層的に整備することが大切
特別な教育的支援を必要とする子ども」を支援する学校体制の整備が実際に一人一人の子どもへの支援につながるためには、各学校において「子どもを支援するための具体的な手立てが分かり、大きな負担なく、楽に支援できるようになること」が必要です。
すべての学校に「校内委員会」を整備し、「特別支援教育コーディネーター」を位置付けるのはその第一歩ですが、専門性の面から考えると、実際のところ、各校には様々な制限があると思われます。また、専門性の高いコーディネーターがいる学校でも、その先生の転勤によって学校の専門性が低下することも考えられます。
そこで、各校のコーディネーターを支援できる地域全体のコーディネーターが期待されます。つまり、「子どもを支援する人を支援する」しくみを重層的に整備することが大切です。
モデル事業での「専門家チーム」と地域のコーディネーター
モデル事業でこの役割を担っているのが専門家チームです。京都府の専門家チームは、精神科医、小児科医、作業療法士、臨床心理士、児童相談所の心理判定員、市町村の発達相談員、LD等に専門性を有する教育職員などで構成され、総合推進地域ではケース検討会、推進地域では巡回相談を行い、学校を支援しています。
総合推進地域の宇治市では、特別支援教育研究委員会を立ち上げました。市の指導主事、ことばの教室担当者の中からLD等に高い専門性を有する者による市独自の相談支援チームを編成して市内小・中学校への巡回相談を行い、学校を支援しています。平成15年度は、計66回の巡回相談を実施し、のべ105ケースの相談を行いました。この取組は、市内の教員による他校への支援ですので、特別な財源がなくても実施可能なものです。次のページにその取組を紹介していますので、参考にしてください。
推進地域の向日市、長岡京市、大山崎町、城陽市、八幡市、京田辺市、久御山町、木津町では、各市町の教育委員会がLD等に専門性を有する市町内の教員を巡回相談員(地域のコーディネーター)に指名し、モデル事業の専門家チームの委員と共に学校を訪問し、巡回相談を行いました。平成15年度は各市町ともモデルケースの相談だけでしたが、地域のコーディネーターが中心になってさらに多くのケースについて学校を支援することが期待されています。
京都府の「養護学校・地域等連携推進事業」
京都府では、平成15年度から「養護学校・地域等連携推進事業」を始めました。これは、モデル事業の手法を取り入れ、養護学校に医療・心理・福祉・教育等の各分野の専門家で構成される専門家チーム(相談支援チーム)を置いて地域支援をするものです。
平成15年度は与謝の海養護学校と桃山養護学校の2校からの出発でしたが、実施校を順次広げ、すべての地域で活用できるよう整備していく予定です。積極的に活用してください。
目 次 | はじめに | 構成と使い方 |
第1部 | |||
1.聞くことが苦手 | 2.うまく話せない | 3.読むことが苦手 | 4.うまく書けない |
5.計算が苦手 | 6.文章題が苦手 | 7.まわりが気になって | 8.わかってるんだけど |
9.衝動的に動いてしまう | 10.人との関係が | 11.コミュニケーションが | 12.なにか気になって |
・不器用な子ども | ・行動上の問題 |
第2部 | |||
・学校体制 | ・学校を支援するシステム | ・宇治市における取組 |
第3部 | |||
・精神科医から | ・小児科医から | ・作業療法士から | ・臨床心理士から |
・保護者から | ・保護者の手記 | ・Q&A |