「登校できない状態」をいわゆる「不登校」と一元的にひとくくりにして、「不登校の理解と対応」などとして記述することはあまりに乱暴であり、子どもが発する「登校できない」サインの見方とその関わりについては、一概にこうだと言えないことの方が多いと思われます。子どもが「登校できない」状態には統合失調症やうつ病などの精神病圏の水準であるケースから、怠学傾向や友人関係での一過性のトラブルによるものまであり、実に複雑で多様です。ですから、教育相談の実際から得られた教訓的なことや教育的心理的援助の在り方について、それを普遍的なこととして記述するのはたいへん困難です。従って、「登校できない」というサインの見方、とらえ方については、「登校できない」多くの事例に一般化して言えることの、ごくおおまかで表層的なところまでの報告にとどめます。
本ページでは、学校に行けない状態を、「学校には行きたい(行かなければならない)けど行けない」という心理的な混乱、あるいは心理的な負担過重からくる神経症圏内のケースに絞って考えてみたいと思います。
<引用文献>
*1 成瀬悟策(H7);講座・臨床動作学1,臨床動作学基礎,学苑社
*2 内田利広(H11);発達課題:心のテーマ,学校カウンセリング入門,友久久雄編著,ミネルヴァ書房
<参考文献>
一丸藤太郎(H13);スクールカウンセラーと医療機関との連携,臨床心理学第1巻第2号,金剛出版
桑原知子(H11);教室で生かすカウンセリング・マインド,日本評論社
菅佐和子(H9);教師がとりくむ不登校 学校のなかでできること,人文書院
菅佐和子(H6);事例に学ぶ不登校 思春期のこころと家族,人文書院
田嶌誠一(H13);不登校・引きこもり生徒への家庭訪問の実際と留意点,臨床心理学第1巻第2号,金剛出版
藤原勝紀(H15);からだ体験モードで学ぶカウンセリング,ナカニシヤ出版
藤原勝紀(H14);イメージを使いこなす,臨床心理学第3巻第2号,金剛出版
藤原勝紀(H13);三角形イメージ体験法−イメージを大切にする心理臨床,誠信書房
文部科学省(H15);今後の不登校への対応の在り方について(報告)