平成16年10月1日から、児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律が施行され、「虐待を受けた児童」だけでなく「虐待を受けたと思われる児童」も通告義務の対象となり、通告義務の範囲が拡大されました。通告者は子どもが虐待を受けた事実があるかどうかを確かめる必要はありません。被害者である子どもはもちろん、加害者である親も救うことになりますから、確信はなくても、疑いがあるときは、速やかに通告しなければなりません。
通告義務は守秘義務に優先しますから、 この通告によって守秘義務違反に問われることはありません。
また、学校の教職員や児童福祉施設の職員、医師、看護師など、児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待の 早期発見に努めなければなならないという義務があります(児童虐待防止法第5条)。児童の安全確認と保護を、何より第1の優先事項とすることが法的にも明確にされています。
本ページでは、子どもの命と権利を守り、断じて児童の虐待を許さないという強い人権意識を常に念頭に置きながら、虐待に絡む子どもの心理的問題の理解と、学校ができる早期発見の手立てと支援に絞って考えてみます。
<参考文献>
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滝川一廣(H13);「こころ」はどこで壊れるか,洋泉社・新書
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西澤 哲(H13);子どもの虐待への心理的援助の課題と展開,臨床心理学第1巻第6号,金剛出版
西澤 哲(H9);子どものトラウマ,講談社現代新書
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日本家族心理学会編(H9);児童虐待−家族臨床の現場から,家族心理学年報15,金子書房
村瀬嘉代子(H13);児童虐待への臨床心理学的援助,臨床心理学第1巻第6号,金剛出版