児童虐待の早期発見のために



1 児童虐待について
  児童虐待は、子どもの心と身体に深い傷を残し、健やかな成長や人格の形成に重大な影響を与える
 ばかりか、次の世代に引き継がれ、将来、更に深刻な社会問題へと拡大するおそれを含んでいます。
  このような児童虐待の根を絶ち、次代を担う子どもたちが安心して、健やかに成長できる社会を構
 築するために関係機関等と連携した積極的な取組が大切です。

2 児童虐待の起こる背景・要因とは
  なぜ、親がわが子を虐待するようなことが起こるのでしょうか。多くの場合、ひとつのことが原因
 ではなく、さまざまな要因が重なったとき、家族関係が不安定になり、子どもの虐待が引き起こされ
 ます。次に示す要因は、これらがあるからといって必ずしも、虐待を引き起こすということではあり
 ませんが、虐待発生の可能性を高める要因といわれています。

・育児不安          ・親自身の虐待された経験
・病気や精神的に不安定な状態 ・不安定な夫婦関係
・経済的不安         ・地域からの孤立  など

3 児童虐待防止に向けて
  「児童虐待の防止等に関する法律」では、学校の教職員は児童虐待を発見しやすい立場にあること
 を自覚し、児童虐待の早期発見・早期対応に努めなければならないことを規定しています。
  この法律の趣旨を踏まえ、各学校では、全ての教職員が、下記の点に留意する必要があります。
 (1) 学校生活のみならず、幼児児童生徒の日常生活面について十分な観察、注意を払いながら教
  育活動をする中で、児童虐待の早期発見・早期対応に努めること。
 (2) 児童虐待を受けた幼児児童生徒を発見した場合や児童虐待の疑いがある場合は、速やかに児
  童相談所又は福祉事務所へ通告、もしくは連絡、相談を行うこと。
 (3) 関係機関と連携し、当該幼児児童生徒の状況把握を行うなど、必要な支援を継続して行うこ
  と。

4 児童虐待の早期発見のために
  「いつでも」「どこでも」、児童虐待に出合う可能性があります。子どもはさまざまな形で虐待を
 まわりに知らせています。そのサインに気づくことが大切です。また、虐待を発見したり、その疑い
 をもった場合には、管理職と相談するなど、一人で抱え込むことなく適切に対応する必要があります。
  各学校では、全ての教職員が、以下の点に注意し、児童虐待を早期発見できるようにしてください。
※ 児童虐待の原因はさまざまですが、虐待する親の大半は、ひとりで苦しみ、悩み続けた結果が子ども
 への虐待となって現れているという悲しい現状があります。また、社会の悪者として、近所や地域から
 見られ、敬遠されてしまうと、一層社会から孤立してしまいます。
  虐待している親もまた同様に傷ついていることを念頭において、対応することが大切です。

5 京都府内の児童相談所
  京都府宇治児童相談所 :0774-44-3340 :月〜金(祝日を除く) 9:00〜17:00
  京都府京都児童相談所 :075-432-3278 :月〜金(祝日を除く) 9:00〜17:00
  京都府福知山児童相談所:0773-22-3623 :月〜金(祝日を除く) 9:00〜17:00
  京都市児童相談所   :075-801-2929 :月〜金(祝日を除く) 9:00〜17:00

 ※ この資料は京都府で作成した「ストップ・ザ・児童虐待」を参考に作成しています。



児童虐待の早期発見のためのチェックリスト(教育関係者用)
 ※ このチェックリストは、児童虐待を発見するためのポイントを示しています。児童虐待の早期発見のために活用
  してください。
 ※ このチェックリストは、あてはまる項目の多少によって虐待かどうかを判定するものではありません。
 ※ このチェックリストは、全ての子どもを対象に一律に点検するためのものでもありません。
 ※ それぞれの項目の中には、虐待による心因反応ではなく、障害やその他の要因によるものがありますので、チェ
  ックに当たっては十分注意することも大切です。

1 子どもの特徴
項 目   主  な  状  況
体や身なり・心の様子 顔や腕、足などにいくつもの傷やけが、やけどのあとがある。
体重や身長の伸びが悪いなど、発育不良が見られる。
食べ物への執着が強く、与えられるとむさぼるように食べる。
季節にそぐわない服装をしていたり、衣服が破れたり、汚れたりしている。
衣類を着替えるとき、異常な不安を見せる。
こわがる、おびえる、急に態度を変える。
表情が乏しく、受け答えが少ない。
警戒心が強く音や振動に過剰に反応し、手を挙げただけで顔や頭をかばう。
保護者との関わり方 保護者の前では硬くなり、極端に恐れている。
子どもと保護者の視線がほとんど合わない。
不自然に子どもが保護者に密着している。
保護者といるとおどおどし、落ちつきがない。
友だちとの関わり方 威圧的、攻撃的で乱暴な言葉遣いをする。
落ちつきがなく、過度に乱暴だったり、弱い者に対して暴力をふるったりする。
はげしいかんしゃくを起こしたり、かみついたりするなど攻撃的である。
友だち関係がうまくつくれない。
友だちに食べ物をねだることがよくある。
学習状況 理由のはっきりしない欠席・遅刻・早退が多い。
忘れ物が多い。
急激な学力低下をおこしている。
問題行動 下校時刻が過ぎても家に帰りたがらなかったり、家出を繰り返したりする。
金銭の持ち出しや万引きなどの問題行動を繰り返す。
小動物をいじめる。
年齢に不相応な性的な興味・関心をもっている。


2 保護者の特徴
項 目   主   な   状   況
子どもとの関わり方 子どもに対して、ことあるごとに激しく叱ったり、ののしったりする。
子どもを抱いたり、話しかけたりしない。
子どもが病気でもあえて病院に連れて行かない。
学校との関わり方 欠席の理由がはっきりしなかったり、連絡がなかったりする。
けがについての説明が不自然である。
子どもに関して言っていることに一貫性がない。
話し合いや面談を拒む。
体罰や年齢不相応な教育などを、「しつけ」「家庭の教育方針」などと正当化する。
家族の状況 絶え間なくけんかがあったり、家族への暴力がある。
必要な予防接種や健診を受けさせていない。
地域での状況 近所づきあいがほとんどない。



印刷用のチェックリストは以下のファイルを活用してください。
Wordファイル

PDFファイル 注2
 PDFファイルを使う場合は、Adobe Acrobat Readerが必要です。入手方法については こちらをお読み下さい。



問い合わせ先  京都府教育庁指導部学校教育課 075-414-5831