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W 国語力の育成を考える
 7 国語力を身に付けるための読書活動
読書の重要性  読書習慣を身に付けることは、知的活動の基礎として、また楽しみとしてなどさまざまな利点があります。文化審議会答申の言葉を借りれば「一生の財産として生きる力」「楽しみの基」を手に入れることともなります。
 読書習慣は早い時期から本に親しむことにより身に付く面もありますが、文学作品に偏ることなく、多くの分野の本を読むことも大切になります。
 また、読書として本に触れるだけではなく、調べるための読書や、雑誌や新聞等幅広い文章に親しむこともここでいう読書の範疇になります。
 文化審議会答申にも「読書は、国語力を構成している『考える力』『感じる力』『想像する力』『表す力』『国語の知識等』のいずれにもかかわり、これらの力を育てる上で中核となるものである」とあり、読書は「教養・価値観・感性等」の基盤となる非常に重要なものです。
読書活動の現状と課題   近年、日本の子どもや大人の読書離れを示す調査結果が多数示されています。OECD(経済協力開発機構)の読書傾向に関する調査では、「趣味として読書をしない」割合が日本は55.0%でした。参加国平均31.7%と比較すると非常に高い割合です。また、全国学校図書館協議会の「学校読書調査」(毎日新聞社)によれば、小学校から高等学校までの児童生徒の9割前後が「本を読むことは大切である」と認識しています。それにもかかわらず、1か月間に1冊も本を読まなかった児童生徒の割合は、小学校から中学校、高等学校と進むにつれて高くなっています。また、文化庁の「国語に関する世論調査」では、子供ばかりでなく全年代にわたって、ある程度の割合で「全く本を読まない」人が存在するという結果が出ています。このことは、子供のみならず、大人にも「読書離れ」の傾向が認められることを示しています。このことは、国語力の育成という観点から考えても、見過ごすことができない大きな問題ではないでしょうか。
現在取り組まれている国や地方公共団体等の施策・取組   平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行され、平成14年8月には「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました。
 京都府では、平成16年3月に「京都府子どもの読書活動推進計画」を策定し、学校、家庭、地域社会の連携のもとに子どもの読書活動の推進を図っています。平成18年1月28日からは、府民みんなで読書に親しみ、子どもたちに豊かな心をはぐくむことをねらいとして「みんなで読もう!1000万冊 読書キャンペーン」を実施しています。
 また、平成16年2月の文化審議会答申で「自ら本に手を伸ばす子どもを育てる」ことの必要性が提起されています。  
 
 


○ 子どもの読書活動の推進に関する法律

(目的)
第一条 この法律は、子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、子どもの読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの健やかな成長に資することを目的とする。

(基本理念)
第二条 子ども(おおむね十八歳以下の者をいう。以下同じ。)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。

(国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の努力)
第五条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、子どもの読書活動が推進されるよう、子どもの健やかな成長に資する書籍等の提供に努めるものとする。

(保護者の役割)
第六条 父母その他の保護者は、子どもの読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとする。

(関係機関等との連携強化)
第七条 国及び地方公共団体は、子どもの読書活動の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、学校、図書館その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。

(子ども読書活動推進基本計画)
第八条 政府は、子どもの読書活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(以下「子ども読書活動推進基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 政府は、子ども読書活動推進基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
3 前項の規定は、子ども読書活動推進基本計画の変更について準用する。

(都道府県子ども読書活動推進計画等)
第九条 都道府県は、子ども読書活動推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該都道府県における子どもの読書活動の推進に関する施策についての計画(以下「都道府県子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。
2 市町村は、子ども読書活動推進基本計画(都道府県子ども読書活動推進計画が策定されているときは、子ども読書活動推進基本計画及び都道府県子ども読書活動推進計画)を基本とするとともに、当該市町村における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該市町村における子どもの読書活動の推進に関する施策についての計画(以下「市町村子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。
3 都道府県又は市町村は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画を策定したときは、これを公表しなければならない。
4 前項の規定は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画の変更について準用する。

(子ども読書の日)
第十条 国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めるため、子ども読書の日を設ける。
2 子ども読書の日は、四月二十三日とする。
3 国及び地方公共団体は、子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。

(財政上の措置等)
第十一条 国及び地方公共団体は、子どもの読書活動の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。 附 則 この法律は、公布の日から施行する。

○ 衆議院文部科学委員会における附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 本法は、子どもの自主的な読書活動が推進されるよう必要な施策を講じて環境を整備していくものであり、行政が不当に干渉することのないようにすること。
二 民意を反映し、子ども読書活動推進基本計画を速やかに策定し、子どもの読書活動の推進に関する施策の確立とその具体化に努めること。
三 子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、本と親しみ、本を楽しむことができる環境づくりのため、学校図書館、公共図書館等の整備充実に努めること。
四 学校図書館、公共図書館等が図書を購入するに当たっては、その自主性を尊重すること。
五 子どもの健やかな成長に資する書籍等については、事業者がそれぞれの自主的判断に基づき提供に努めるようにすること。
六 国及び地方公共団体が実施する子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業への子どもの参加については、その自主性を尊重すること。





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