T 学力診断テスト(国語科)における児童生徒の課題
2 学力診断テスト(国語科)における具体的な課題 ―「読むこと」― |
「読むこと」の課題 |
ここでは、学力診断テストにおける「読むこと」の課題を次のように整理しました。
◆ 文脈に即した語句の意味を把握する力が弱い。
◆ 文章を内容や場面に応じていくつかの「まとまり」としてとらえる力が弱い。
◆ 段落を相互に関連付けながら文章の展開を見ていく力が弱い。
このような課題は、平成13年度小中学校教育課程実施状況調査報告書の概要にも、「文章の構成や展開を正確にとらえる力の育成が必要である」と指摘されています。 |
「読むこと」の改善のポイント |
改善のポイントは次のようになります。
1 辞書を活用させたり、読書活動を充実させたりして語彙量を増やす取組を進める。
→(その際、意味を調べるだけでなく、いくつかの意味から文中で使われているものを適切に選択させたり、語感などを大切にしたりすることが大切です。)
2 言葉のはたらきに目を向けながら、「何が、どのように書いてあるのか」を読み取る授業を進める。
→(段落の要点を抜き出したり、意味のまとまりごとに小見出しを付けたりするなど内容を整理する学習も効果的です。)
3 文章構成については、文章の展開に重要な働きをする接続語、文末表現、繰り返し語句、指示語の役割に着目して説明的な文章を中心に重点的に指導する。
低学年からの系統的な指導 低学年:語句の意味を押さえた上で、事柄や筋などのおおよそを把握すること、時間的な順序や場面の移り変わり、事柄の順序などを考えながら内容をとらえる。
中・高学年以降:文章の展開に重要な言葉に着目しながら、段落相互の関係や論理(筋道)を的確にとらえ、中心的な事柄を把握していく。
→(児童生徒が自分で大事だと思う事柄を読み取るなど主体的な学習活動をできるだけ多く取り入れ、個々の考えを生かす授業づくりも大切です。)
4 ある部分を詳しく読んだり、書き手と自分のものの見方や考え方を対比したりするなど、自分の力で文章を読み取っていく力を育てる。
(具体的には、「個々の児童生徒が自ら思考し学習することを大切にする指導」、「グループでの課題解決や意見交流などによって新たな気付きが得られるような工夫」が必要です)
文化審議会答申では、小学校段階では「読むこと」が大切であり「『読み』の学習を先行させることで、言葉の知識(特に語彙力)を増やすこと」や、「『読む・書く』を繰り返し練習すること」が重要としています。
また、国語力育成の【発展期】にあたる中学校段階では、「論理的思考を本格的に展開することが可能」となるため、「読むこと」と「書くこと」の関連を図りながら、論理的思考力や表現力を育成することが重要だとしています。
PISA調査の結果を踏まえた指導改善の方向においても、「テキストを単に読むだけでなく、考える力と連動した形で読む力を高める取組を進めていくこと」、「考える力を中核として、読む力、書く力を総合的に高めていくプロセスを確立すること」の重要性が指摘されています。
このような観点からも、学力診断テストで課題としている「文脈に即して語句の意味を正確に把握する力」「文章をまとまりとしてとらえる力」「文章の展開を見ていく力」を身に付け、「読む」力「書く」力を育成していくことが大切だといえます。
さらにPISA調査の結果を踏まえた指導改善の方向では、「テキストを理解・評価しながら読む力を高めること」が必要だと指摘されており、上記の課題を克服した上で、このような力も育成していく必要があります。 |
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