平成18年度研究事業「地域や学校における特別支援教育体制の充実」
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※ずばり、特別支援教育コーディネーターの悩みに答えます。具体的に「○○してみましょう。」と提案をしています。是非参考になさってください。

(1) 支援が必要な子の様子を見にいきたいけれど、時間が取れない。
(2) 実態把握のためのチェックリスト、アセスメント票、個別の指導計画の作成が進まない。
(3) 実態把握、アセスメント、個別の指導計画はできたけれど、実際の支援に
  むすびつかない。
(4) コーディネーターである自分だけで仕事を抱えてしまう。
(5) 個人情報の管理が不安である。
(6) 学校内で、支援が必要な子どもの状況や支援方策の共通理解が図れない。
(7) 学校の困り感と保護者の困り感が違って、信頼関係が作れない。

(1) 支援が必要な子の様子を見にいきたいけれど、時間が取れない。
◇ 教室で勉強している様子、遊んでいる様子等々、コーディネーターであるあなた自身の目で見ておきたい、という気持ちは持っていても、なかなかその時間を取るのが難しいですね。担任をしながらなら、なおさらです。

▼ わざわざ参観の時間を取らなくていい機会を上手に活用しましょう。
例えば、集会、各種行事(入学式、卒業式、始・終業式)は格好の情報収集の場です。
▼ 一人でがんばりすぎていませんか。チームで取り組みましょう。
担任外の先生に、給食や掃除の時間の様子、
少人数授業担当の先生に授業中の様子、
挨拶運動を毎朝されている校長先生に登下校の様子等々
情報収集、必要な情報の吟味・整理がコーディネーターの役割です。

(2) 実態把握のためのチェックリスト、アセスメント票、個別の指導計画の作成が進まない。
◇ チェックリストやアセスメント票、個別の指導計画の様式が詳しすぎませんか。反対に大雑把過ぎませんか。書く欄が多すぎませんか。
記入様式の見直しをしましょう。チェック項目や文例をつけると助けになります。
◇ 実態把握といわれても、何をどう書けばよいのかわからない先生は以外に多いものです。年度当初にLD、ADHD、高機能自閉症等の研修会を実施すると同時に、児童理解、実態把握のポイントを説明しましょう。
◇ 職員会議や研修会でチェックリスト、アセスメント票、個別の指導計作成の提案をした時は、短時間でも作成時間を確保しましょう。みんなでやれば、理解も深まります。ほら、できあがり!
◇ 同じようなチェックリストや実態把握票が、「生徒指導部-提出日4月15日、教育相談部-4月17日、特別支援教育部4月18日・・・なんて事はありませんか。」作成の目的を明確にすると、校内で整理統合ができるはずです。

(3) 実態把握、アセスメント、個別の指導計画はできたけれど、実際の支援にむすびつかない。
◇ 担任の先生に、「○○してみてどうだった?」と、日常的に、聞いてみましょう。
 「すごい、先生やったね。」「じゃ、集会に向けてはどんな工夫が必要かな。」こんな会話が大切です。
◇ 校内の先生の実践やコーディネーター自身の実践を紹介しましょう。
「スケジュール表を作ったら、混乱せずに行動できたよ。このスケジュール表使ってみる?」
◇ 事例研究会を開きましょう。実際の事例をもとに具体的な支援方法を職員みんなで考えることを通し、自分のクラスの支援の必要な子への支援アイデアも浮かんできます。
◇ 個別の指導計画の評価は、学年末だけになっていませんか。取組がなければ評価をすることはできません。評価が、具体的な行動を生み出します。それが、次の支援方策につながります。一年に、何度か評価をし、記録をする機会を作りましょう。
 ※個別の指導計画が本当に担任の先生が「やってみよう」と思えるものになっていますか。教室で支援をするのは、コーディネーターのあなたではありません。担任の先生だということを忘れていませんか。
理想的な支援と、担任の先生ができる支援は違うことがあります。

(4) コーディネーターである自分だけで仕事を抱えてしまう。
◇ 校内でコーディネーターが一人という場合、どうしても孤立しがちで、仕事を一人で抱えてしまう傾向があるようです。でも、あなた一人でやっている間は、あなたの学校の特別支援教育は進みません。

▼ まず、校内委員会を機能させましょう。そこで、大切なのが、校内委員会それぞれのメンバーの役割分担、仕事分担です。メンバーがそれぞれ、意見を出し合うことは必要です。けれども、言いっぱなしでは、支援に結びつきません。実行力のある信頼される委員会にするためには、校長先生をはじめ、メンバー一人一人が自ら行動をおこす委員会にすることが大切です。
▼ 校内でコーディネーターを複数置くのが望ましいでしょう。コーディネーターが複数いると、学年担当を決めるなど、小回りのきくシステムを校内委員会を作る事ができます。

(5) 個人情報の管理が不安である。
◇アセスメント票、個別の指導計画や個別の支援計画は、大切な個人情報がたくさん記載されています。その管理方法は、教職員全体に周知徹底しなければなりません。でも、「金庫の奥にしまいこんで、年度初めと年度末しか見たことがない。」というのでは、意味がありません。

▼アセスメント票、個別の指導計画や個別の支援計画は、取り扱いには十分配慮が必要ですが、活用しなければ意味がありません。必要な時に必要な情報をすぐに取り出して、毎日の指導の指針として、教職員間で共有できるようにしましょう。
▼出し入れが簡単にできる工夫をしましょう。「ぎゅうぎゅう詰めの書類の間に入れる、欲しいファイルを探すのに時間がかかる、」という環境はトラブルのもとです。金庫やロッカーを整理して、特別支援教育関係の書類を入れるスペースをこしらえましょう。学年毎に色分けした書類ボックス、クリアーファイルを利用して、A君のことなら全てわかるファイル等、工夫してみましょう。
▼保管場所から出す場合は、所在がはっきりするように、記入用紙を作成するのもよいでしょう。

(6) 学校内で、支援が必要な子どもの状況や支援方策の共通理解が図れない。
◇子どもの事を、いっぱい話すことから始めましょう。

▼それは、会議や研修会でなくてもいいのです。廊下で立ち話、ほっと一息お茶を飲みながら・・
▼大きな行事の前と後は、共通理解の大きなチャンス!
 子どもの行動や認知の特性に応じた対応や支援を提起しましょう。全校で取り組む行事は、そういう支援の有効性が全教職員で検証できる良い機会です。取組の評価も必ずしましょう。より一層理解が深まります。
▼学年会に、時間があれば参加しましょう。中学校等、教科担任制の場合は、教科の先生を含めた学年会で、支援の必要な子どもの支援方策について具体的な話をしましょう。
▼生徒指導部、教育相談部、特別支援教育部との連携は特に大切です。校内委員会のメンバーに含めるたり定期的に合同会議日を設定したり、支援の必要な子どもの像を校内で一つにしてきましょう。
▼事例研究会を持ちましょう。具体的な校内の事例をもとにすると理解が進みます。地域の相談支援チームから講師を招き、認知や行動の特性とそれに応じた支援法等を話してもらうのも有効です。

(7) 学校の困り感と保護者の困り感が違って、信頼関係が作れない。
◇まず、家庭での保護者の困り感に寄り添ってみましょう。

▼「学校では、こんなに大変!お母さんわかっているの!」という気持ちで保護者の話を聞いていませんか。
▼家庭での様子をしっかり受け止め、学校よりうまくいっているところがあるなら、それはどういう条件の時にそうなのか、どんなふうにやっているのか、詳しく聞いてみましょう。参考になることがたくさんあるはずです。そういう家庭から学ぶという学校の姿勢がなければ、保護者の信頼感は得られません。

◇子ども自身が本当に困っていることを学校と保護者と一緒に考えましょう。

▼子どもが本当に困っていることは何ですか。お母さんやお父さん、先生が困っていることではありませんか。支援が必要な子どもをいつも真ん中において考えましょう。そういう姿勢が信頼関係を築く第一歩です。


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