算数科における評価のポイント

―― 1単位時間内における評価の工夫  ――

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資料編
T 算数科 学習指導案
  1 対象   2 単元   3 単元目標
  4 単元の評価規準
  5 単元の指導と評価の計画
  6 各教科の教材問題
  7 本時の目標
  8 本時の展開
U 資料
  資料1 学習指導要領算数の目標
  資料2 算数的活動
  資料3 算数的活動の意義
  資料4 発展的な学習と補充的な学習
  資料5 自己診断票






T 算数科 学習指導案

算数科 学習指導案
1 対   象   第6学年
2 単   元   割合を使って (啓林館6年下P.36〜39)
3 単元目標
  • 割合のよさがわかり、それを用いようとする。(関心・意欲・態度)
  • 全体を1と考えて、それぞれの部分と全体の関係がどうなっているかを考えることができる。(数学的な考え方)
  • 全体を1として割合の和や差、積を考え、分数の乗法・除法を用いて問題を解くことができる。(表現・処理)
  • 全体を1として、部分の割合を分数で表すことや、それぞれの関係が和や差や積などによって求められることがわかる。(知識・理解)
4 単元の評価規準
関心・意欲・態度 数学的な考え方 表現・処理 知識・理解

元の評価規準
 全体を1と考える割合のよさがわかり、絵や図、線分図などをかいて問題を解こうとする。 全体を1と考え、部分の割合を分数で表したり、それぞれの関係を割合の和や差や積として考えることができる。 全体を1として、部分の割合を分数で表したり、それぞれの関係についての問題を和や差や積を使って解くことができる。 全体を1とし、部分の割合を分数で表したり、割合と割合の和や差を考えたり、割合の積を考えることの意味を理解している。
具体の評価規準 A割合の和を考えることのよさに気づき、それを用いようとしている。
B割合の差を考えることのよさに気づき、それを用いようとする。
C割合の積を考えることのよさに気づき、それを用いようとする。

D
全体を1と考える割合のよさがわかり、絵や図、線分図などをかいて問題を解こうとする。
@全体を1として、分数で表した部分の割合との関係を考えて、場面をとらえている。
A部分と部分の割合の和をもとにして、問題の解決の仕方を考えている。
B全体を1として、割合の差を考えることができる。
C全体を1として、割合の積を考えることができる。
@全体を1として、部分の割合を分数で表すことができる。
@全体を1として、部分の割合を考えて、問題の解決ができる。
A部分と部分の割合の和を考えて、問題の解決ができる。
B全体を1として、割合の差を考えて解く問題を解決することができる。
C全体を1として、割合の積を考えて問題の解決ができる。
D全体を1として、部分の割合を分数で表したり、それぞれの関係についての問題を、場面に応じて和や差や積を使って解くことができる。
@割合を表す線分図のかき方が分かる。
B割合の関係を表す関係図のかき方が分かる。
C割合の関係を表す面積図のかき方が分かる。
上の表の@,A,・・・の数字は、「指導と評価の計画」の1時間目,2時間目,・・・に対応していることを示している。
5 単元の指導と評価の計画

【関】関心・意欲・態度,【考】数学的な考え方,【表】表現・処理,【知】知識・理解

時間 指導過程と指導内容 学習活動 指導上の留意点学習活動における具体の評価規準など
全体を1として 全体を1として、部分の割合を考えて解く問題 家から駅までの道のりを1として、線分図に表して考える。 評価規準
【考】全体を1として、分数で表した部分の割合との関係を考えて、場面をとら   えている。
【表】全体を1として、部分の割合を分数で表すことができる。
【考,表】全体を1として、部分の割合を考えて、問題の解決ができる。
【知】割合を表す線分図のかき方が分かる。
十分満足できると判断される状況
・類似問題を線分図をかいて解いたり、適切な問題を作ったりできる。
努力を要する状況の児童への手立て・全体の量を適当に仮想して計算するなどして、具体的な場面理解ができるようにする。


本時
全体を1とし、部分の割合の和を考えて解く問題 1分間に入る水の量を、線分図にして考える。 評価規準
【関】割合の和を考えることのよさに気づき、それを用いようとしている。
【考】部分と部分の割合の和をもとにして、問題の解決の仕方を考えている。
【表】部分と部分の割合の和を考えて、問題の解決ができる。

十分満足できると判断される状況
・類似問題を線分図をかいて解いたり、適切な問題を作ったりしている。
努力を要する状況の児童への手立て
・IT教材と線分図を見比べながら、全体を1として考えられるようにする。
何倍にあたるかを考えて 割合の差を考えて解く問題 苗を植えた面積は全体のどれだけになるかを、関係図や線分図をもとに考える。 評価規準
【関】割合の差を考えることのよさに気づき、それを用いようとする。
【考,表】全体を1として、割合の差を考えて解く問題を解決することができる。
【知】割合の関係を表す関係図のかき方が分かる。
十分満足できると判断される状況
 ・類似問題を関係図や線分図をかいて解いたり、適切な問題を作ったりしている。
努力を要する状況の児童への手立て・部分の割合相互の関係を、絵や線分図をかいてとらえられるようにする。
割合の積を考えて解く問題 砂場の面積は、公園全体の何分の何になるかを、関係図をかいて考える。 評価規準
【関】割合の積を考えることのよさに気づき、それを用いようとする。
【考,表】全体を1として、割合の積を考えて問題の解決ができる。
【知】割合の関係を表す面積図のかき方が分かる。
十分満足できると判断される状況
 ・類似問題を面積図や関係図をかいて解いたり、適切な問題を作ったりしている。
努力を要する状況の児童への手立て・IT教材と面積図を見比べながら、全体と部分の関係をとらえられるようにする。
まとめ 全体を1として、割合の和や差や積を考えて解く問題の習熟(補充および発展的な学習) 個々の課題にあわせて、これまでに学習した多様な問作をする。 評価規準
【関】全体を1と考える割合のよさがわかり、絵や図、線分図などをかいて問題を解こうとする。
【表】全体を1として、部分の割合を分数で表したり、それぞれの関係についての問題を、場面に応じて和や差や積を使って解くことができる。
十分満足できると判断される状況
 
・多様な問題を解いたり、適当な問題を作ったりしている。
努力を要する状況の児童への手立て
・自己診断表をもとに、個々の課題を確認して適切な学習に取り組ませる。
6 各時間の教材問題 (啓林館6年下)
類別 例  題 適用問題 補充・発展問題
全体を1として、部分の割合を考えて解く問題

P.36
ただしさんは、家から駅まで行くのに、歩けば20分、走れば8分かかります。
ア 1分間に歩く道のりは、家から駅までのどれだけにあたるでしょう。
イ ただしさんは、はじめ15分歩き、そのあと走って駅まで行きました。走った時間は何分だったでしょう。

P.36A
で、はじめ6分間走って、そのあと歩いて駅へ行くと、何分歩いたことになるでしょう。

ゆうたさんは本を読んでいます。
4日間は全体のページ数の1/10ずつ読み、あとは毎日1/15ずつ読みます。
全部読み終るには、何日間かかるでしょう。


本時
全体を1として、部分と部分の割合の和を考えて解く問題

P.37
水そうに水を入れるのに、Aのせんを開くと10分、Bのせんを開くと15分でいっぱいになります。
同時にせんを開いて水を入れると、何分でいっぱいになるでしょう。

P.37C
兄と弟の2人がペンキぬりをしています。
兄一人でペンキをぬると40分、弟だけでぬると1時間かかります。
2人いっしょにすると何分でぬれるでしょう。

兄と妹が食器をあらいます。
兄一人で食器をあらうと15分、妹だけであらうと30分かかります。
2人いっしょにすると、何分であらい終えるでしょう。
全体を1として、割合の差を考えて解く問題

P.38
面積が16uの花だんがあります。
この花だんの1/4に球根を植え、残りに花のなえを植えました。
花のなえを植えた面積は何uでしょう。

P.38A
ふくろ入りのさとうがあります。
このさとうの2/5を使ったあとで、残りのさとうの重さをはかったら、300gありました。
さとうは、はじめ何gあったのでしょう。

チョコレートがあります。このチョコレートの1/3を食べたあとで、重さをはかったら40gでした。
チョコレートは、はじめ何gあったのでしょう。
全体を1として、割合の積を考えて解く問題

P.39
全体の面積が1000uの公園があります。
全体の2/5が広場、広場の1/10がすな場になっています。
すな場の面積は何uでしょう。

P.39C
ひろしさんの学校の図書室にある本のうち、3/10が童話の本です。
童話の本のうち、3/5が日本の童話で、日本の童話は1800さつあります。
図書館には全部で何さつの本があるのでしょう。

全体の面積が8000uの学校があります。全体の3/4が運動場、運動場の1/10がバスケットをする場所になっています。
バスケットをする場所の面積は何uでしょう。

7 本時の目標 第2/5時
   ・割合の和を考えることのよさに気づき、それを用いようとする。(関心・意欲・態度)
   ・全体を1として、部分と部分の割合の和を考えて、問題の解決ができる。(数学的な考え方,表現・処理)
   
8 本時の展開 第2/5時
過程 指導内容 指導形態 主な学習活動 指導上の留意点 教材・教具等 評価
前時の学習内容を想起させる。

本時のめあての確認させる。
一斉

チェック問題を行う。


「自己診断票」に目をとおし、本時の学習の内容を大まかにとらえる。

全体を1として、部分の割合を分数で表すことを確認する。

「自己診断票」の内容を確認し、学習に見とおしをもてるようにする。

チェック問題の掲示物
自己診断票

例題を読み、場面をとらえさせる。

全体と部分の割合を考えさせる。

スライドショウを見て考えさせる。



線分図をかかせ、式の立て方を考えさせる。

一斉










個別







一斉

例題を読み、具体的な場面をとらえる。


何を1とするか考える。



1分間にどれだけ水が入るかを考える。
 Aだけでは?
 Bだけでは?
 AとBでは?

線分図をかき、何分でいっぱいになるか考える。

線分図をもとにして式を考える。

部分の割合の和を求め、全体の量を割ることで問題解決する。

個別読みと教師の範読を行い、場面理解を深める。

前時の学習を振り返り、全体が何かを見つけられるようにする。


IT教材のスライドショウを見せ、部分の割合を分数でとらえられるようにする。



線分図をかくことによって、AとBの割合の和に注目し、立式の仕方に気づくようにする。



式の意味を振り返りつつ、全体の水の量を
60gと仮想して、確かめる。

割合の和を使う方法のよさを確認する。

ノート型PC
プロジェクタ
スクリーン
IT教材













【表】【考】






【表】【考】

適用問題に取り組む。





学習内容を選択し、取り組む。

個別





個別
選択

問題を読み、題意を把握してから自力で解く。


【選択学習】
自己評価をもとに、補充問題に取り組むか、問題作りに取り組むかを決め、学習を深める。

「自己診断票」とノートへの記載状況をもとに理解の程度を評価し、適切な指導を行う。



理解の浅い児童には、補充問題に取り組ませる。

問題作りにおいては、割合の和を使った問題になるよう指導する。





 【表】【考】


 【表】【考】

本時のまとめをする 一斉

「自己診断票」を用いて本時の学習を振り返らせる。

ノートと「自己診断票」を回収し、学習状況を把握する。


 【考】【表】

       【関】割合の和を考えることのよさに気づき、それを用いようとしている。
       【考】部分と部分の割合の和をもとにして、問題の解決の仕方を考えている
【表】部分と部分の割合の和を考えて、問題の解決ができる。


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資料1

学習指導要領算数の目標
数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、 日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活に生かそうとする態度を育てる。
 −小学校学習指導要領より−







資料2

算数的活動
児童が目的意識をもって取り組む算数にかかわりのある様々な活動の総称。
 作業的・体験的な活動など手や身体を使った外的な活動を主とするが、思考活動など内的な活動を主とするものも含まれる。
・手や身体等を使って、ものを作る活動
・教室の内外において、各自が実際に行ったり確かめたりする活動
・身の回りにある具体物を用いた活動
・実態や数量などを調査する活動
・概念、性質や解決方法などを見付けたり、つくり出したりする活動
・学習したことを発展的に考える活動
・学習したことを様々な場面に応用する活動
・算数のいろいろな知識、あるいは算数の様々な学習で得た知識などを総合的に用いる活動
 −小・中学校授業改善ハンドブック(H12,3月/京都府教委)より−







資料3

算数的活動の意義
・算数の授業を児童の活動を中心とした主体的なものとする。  
・算数の授業を児童にとって楽しいものとする。  
・算数の授業を児童にとって分かりやすいものとする。  
・算数の授業を児童にとって感動のあるものとする。  
・算数を日常生活や自然現象と結び付いたものとする。  
・算数の授業を創造的、発展的なものとする。
・算数と他教科等を関連させる活動を構想しやすいものとする。            −小・中学校授業改善ハンドブック(H12,3月/京都府教委)より−




資料4
発展的な学習
  学習指導要領に示す内容を身に付けている児童生徒に対して、個に応じた指導の充実を図る観点から、児童生徒の興味・関心等に応じて、学習指導要領に示す内容の理解をより深める学習を行ったり、さらに進んだ内容についての学習を行ったりするなどの学習指導であるといえる。児童生徒の理解や習熟の状況等に応じ、指導内容を適宜工夫することが求められているが、その際、学習指導要領に示す内容と全く関連のない学習や児童生徒の負担過重となるような指導にならないようにすることに留意する必要がある。
補充的な学習
  全ての児童生徒が基礎・基本を確実に身に付けることができるようにすることが重要であり、補充的な学習とは、児童生徒の理解や習熟の状況等に応じ学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るために行う学習指導であるといえる。各学校にあっては、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、ティームティーチングなど様々な指導方法や指導体制の工夫改善を進め、当該学年で学習する内容の確実な定着を図ることが重要である。
−小・中学校授業改善ハンドブック(H15.3月/京都府教委)より−





資料5

      ※  クリックすると、自己診断票についての解説が見られます。



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