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京の国語力向上のための指導資料(まえがき)

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 今日、国際化、情報化の進展や価値観の多様化など、人々の生活を取り巻く社会的な環境が急速に変化してきている。
 こうした時代にあっては、様々な情報を適切に取捨選択し、的確に判断できる分析力や筋道立てて物事を考える論理的思考力、さらには豊かな発想の基となる創造力などを身に付けることが重要になってきている。また、我が国の長い歴史の中で培われてきた伝統的な文化を理解し、豊かな感性や情緒を備え、新たな文化を創造するための知識や教養をもつことも求められている。
これらの能力や情操などをはぐくむ上で、重要な役割を果たしているのが言葉である。人々が共に生活し、相互に理解し合う社会を形成していく上で、欠くことのできない言葉は、単なるコミュニケーションの手段としての役割にとどまらず、その言葉を母語とする人々の文化とも密接に深く結び付いている。国語は、文化の継承と創造という営みにおいて、極めて重要な役割を果たしているのである。
 しかし、近年、日常における言葉遣いや語彙、文章作成能力などにおいて問題点が指摘されるとともに、平成15年7月に実施されたPISA調査の結果により、我が国の子どもたちの「読解力」の得点がOECD平均程度まで低下してきている状況にあるという国語力にかかわる課題が示された。その後、公表された平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査結果においても同様な課題が明らかになっている。
 本府においても、小学校基礎学力診断テスト、中学校学力診断テストを実施し、児童生徒の学力実態を把握・分析しているが、論理的に読み取ることや効果的に文章表現することなど、国の調査結果と共通する課題が見受けられる。
 京都府教育委員会は、こうした課題を克服するため、平成18年年度の「京の国語力向上プロジェクト」において、「教科国語で改善を図るべき課題」と「各教科等で取り組むべき課題」の2つの視点から、児童生徒の国語力向上に向けた指導のための資料を作成することとした。
 この「京の国語力向上のための指導資料」は、各教科及び総合的な学習の時間等、学校の教育活動全体を通じて国語力を総合的に高めるために、身に付けさせたい国語力とそれを育成するための学習活動をマトリクスに表し、それに基づく指導の在り方を提案している。各学校においては、確かな学力の基盤である国語の重要性に鑑み、本書を参考として、各教科等における国語力育成の視点を明確にし、さらに創意工夫を生かして指導の充実に努められることを望むものである。
 また、国語科の目標、内容等について理解を深め、自校の国語科カリキュラムを改善し、さらに創意工夫を生かした指導の充実に資する資料として別途作成した「京の国語力向上のための国語科カリキュラム改善資料」も併せて活用することで、府内のすべての児童生徒の国語力が向上することを強く願う次第である。

平成19年3月
京都府教育委員会
 教育長  田 原  博 明

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