ア 見立てる
「見立て」とは、対象となる児童生徒がどのような状態にあるのか理解し、どのような指導・支援をするのが望ましいか大きな見通しをもつことです。
この「見立て」が校内でしっかりとできているかどうかということが、不登校の未然防止のために最も重要なことと言えるでしょう。遅刻や欠席がちの子どもについてはもちろんのこと、「背のびしているよい子」や「心を通わせにくい子」、「自分で決めにくい子」など、気になる子どもについて、できるだけ早い段階で、「見立て」について校内で検討することが必要です。
「見立て」は一度きりのものではありません。子どもは常に成長し、当然、刻々と変化しているわけですから、「見立て」もその都度、修正したり、見直したり、変化していくものなのです。
「見立て」には、高度に専門的な心理学や精神医学の知識や力量を必要とすることもあります。
「どうしてだろう」とか「わかりにくいな」というようなときは、教職員だけで安直な判断をするのでなく、できるだけ早いうちにスクールカウンセラー等の臨床心理士や、病院、クリニック等の精神科医等からコンサルテーションを受けることが必要です。
「教育」の専門家であり、常に子どもと接している教師が、子どもを見る確かな「眼」を養うことが不登校の「未然防止」のためには最も重要です。
京都府総合教育センターに寄せられた不登校を主訴とする教育相談の中から、「見立て」のために参考となる特徴的な不登校のタイプについて、いくつかの例を挙げてみます。
子どもが不登校に陥る前に、もし教師が気付き、適切な「見立て」をしていれば、おそらく長期の不登校に陥ることは避けられただろうと思われるケースも多くあります。