気になる子どものサインとして、
例えば
「興奮しやすい」
「忘れ物が多い」
「落ち着きがない」
「暴力をふるう」
「教科学習に特異な困難を示す」
を取り上げましたが、子どもの成長過程においては、どの子どもも気になるサインを発しつつ成長するとも言えます。
「人の話が聞けない子ども」であったり、
「じっとしていられない子ども」であったりすることは決して珍しいことではありません。
しかも、多くの子どもが見せるサインは、成長過程の一過性の状態であったり、特別な心的要因で発する場合も少なくありません。
ですから、気になるサインも多くの場合、年齢が上がるとともに少なくなり、学校や家庭でも気にならなくなります。
しかし、子どもたちの中には、「特別な教育的配慮」を必要としている場合があります。
いわゆる、
LD(学習面の障害)、
ADHD(行動面の障害)、
高機能自閉症等(コミュニケーション面の障害)
などの特性を考慮に入れて対応した方が、本人にとって負担が少なく、スムーズに学校や家庭で生活ができる場合があります。
もちろん、上記のように子どもたちの成長過程においては、気になるサインは様々な要因が考えられますから、原因や状況の判断は慎重に見極めることが大切です。
家庭や学校での安易な判断は厳に戒めなければなりません。
専門的な機関での相談や援助について検討することが不可欠な場合もあります。
子どものサインを教育的な支援の手立てのための気づきとして受け止めることは、子どもを困難な状況から救うためであり、レッテルを貼り一面的な判断で子どもを見るためのものではありません。
そして、適切な実態把握を通して、軽度発達障害(LD、ADHD、高機能自閉症等)に関わる配慮が必要な場合は、それぞれの項目をクリックしてください。
1 興奮しやすい
感情をコントロールすることの苦手な子どもは、自分の居る場所の状況や人との関係などを考慮に入れず、少しの刺激などで、怒 り出したり泣いたりするなど、衝動的に行動をすることがあります。
しっかりとその兆候を把握し対処することが本人を苦しめずに気持ちを安定させることになります。
詳しくは、ADHD等の子どもが表す様子も参考にして対応を考えてください。
2 忘れ物が多い
集中をして人の話が聞けなかったり、聞いたことや見たことなどを記憶できにくい子どもは、忘れ物をしたり家庭への連絡がもれた り、授業での準備物が揃わなかったりと、学校生活に支障をきたすことがあります。本人が気づかずに困難な状況が生じますから、具 体的な対応が必要になります。
ADHD等の子どもたちの特性である不注意が原因であったり、LDから来る文字に対する読み書きの困難性であったりする場合も 考えられますから、十分に実態を把握し、分かりやすく本人が納得できる方法で対応をしましょう。
3 落ち着きがない
授業中に、話が聞けず手足を常に動かしたり、私語が多くて集中ができない子ども。 さらには授業中に立ち歩いたり、教室から出 たり、ルールが分からなかったりする子どもの中には、LDやADHD等の子どもたちもいますので、丁寧な対応が求られます。
(参考、7事例)
4 暴力をふるう
自分の気持ちや力をコントロールできない子どもは突然大声を出したり、自分の気持ちをうまくことばで伝えることができずに、す ぐに手を出したり、友だちに物を投げたり、噛みついたり、相手を傷つける乱暴な行動に出ることがあります。許されない行動 には 特に慎重に対処する必要があります。このような子どもの状況もADHD等の特性としてみられる衝動性や多動性が原因である場合が ありますから、丁寧な対応が求められます。
5 教科学習に特異な困難を示す
LD、ADHD、高機能自閉症等の子どもたちは中枢神経系の機能障害と推定されています。そのために、様々な学習上の困難を呈 しています。読むこと、聞くことの困難な子どもは、情報の入口でつまずき、学習内容の受容が困難ですし、記憶や推理などに困難が あると情報が適切に入力できても処理ができないことになります。また、情報を処理して発信するときに、コミュニケーションやこと ばで表現ができなかったり、文字で適切に表現ができないなどの困難性があると、学習にも支障が出て苦手な教科として受け止めてし まいます。
「読み・書き・計算」に困難のある子どもは、いち早く国語や算数にあらわれます。
そのことが、ひいては他教科にも当然及んでいくと考えられます。
また、落ち着きがなかったり、運動面(粗大運動、手指の操作性)に困難があると、描画活動が上手くできなかったり、楽器が上手 くあしらえなかったり、体育で体操やボール運動でぎこちなさが目立ちます。