「連携・啓発」の進め方
○「ナビゲーションのシステムの搭載」
この「連携・啓発の仕事」は、「車の運転」に喩えて考えてみるとわかりやすいです。
「車の運転」で言うならば、「連携の仕事」というのは、「ナビゲーションのシステムの車への搭載」と似ています。また「啓発の仕事」というのは、ナビゲーションそのものを車外広告しながら、車を走らせるのと似ています。
「子どもが突然、登校しにくくなる」ということは、教師にとっても実に不安なことです。休みがちな子どもに一生懸命に関われば関わるほど、どう接してよいのかわからなくなったりするものです。
ですから、迷って道がわからなくなる前に、教師はどこを向いて車を走らせればよいのかと不安になる前に、「司令塔」を車外(学校外)にも求めておくことが大切です。
GPSから送られる信号によって、自分の立ち位置が確認できます。「学校」や「教師」という、同じ「地平」からでは見えにくいこともあると思うのです。
いくら教師が努力しても、子どもはなかなか学校に来ない。親は学校に原因があるのではないかと不満を教師にぶつける。校内で教師が話し合っても、どうしていいのかみえてこない・・・。
こういうとき、心の専門家は「教師がちょっと休めるお店」や「燃料補給のためのガソリンスタンド」、あるいは「車の修理をしてくれる板金塗装店」等の役割として、その時々に教師を支援してくれたり、込み入った道のナビゲーションもしてくれるものです。
また「現在地」から「目的地」まで、安心して、安全に運転を導いてくれるので、子どもも親も、そして同乗している教師たちも安心して走れるわけです。そうすると、車外広告を掲載したり、アナウンスして街宣する、つまり啓発することも安心してできることになります。
「運転手」が不安なとき、困ったとき、疲れたときには、車外の「司令塔」からの、このようなナビゲーションシステムは必ず役に立つものです。
自分をエンパワメント(自分の能力を引き出すこと)してくれる学校内外の人材や関係機関とつながっておくということはとても重要です。
○安心、安全な「運転」
安心して安全に「運転」できるようになると、運転は実に楽しいものになります。
運転をするからには、教師は車の「エンジンの構造」や「道路標識」「教習マニュアル」、あるいは「車の運転テクニック」を知っておくことが必要ですし、そのような学習はとても大事なことでしょう。「連携」によってこのような「知識」を得ておくことは必要です。
しかし、「学校に行きたくても行けない子ども」や「行かせたいのに子どもが学校に行ってくれない親」にとって、そのような「運転の知識」をいくら教師がもっていても、困って途方にくれている子どもや親の「助け」になりることはそうありません。
運転の知識が豊かであることと、運転が上手くて誰もが安心できるということとは別のことのようです。
教育相談においても同じことが言えるようです。教育相談の知識やテクニック(技法)も大事ですが、何よりも安全に、安心して「教育相談そのもの」を楽しめる教師であることのほうが知識をたくさん持っている教師であることよりも大事であり、子どもや親にとっては、はるかにずっと心強く、頼りになるものです。
高速運転だけでなく、地道をゆっくりとのんびりと走ることもできる。信号待ちでふと停車した際には風に揺れる野花に目をとめ、ちょっと車から降りて季節を楽しんだり、交通渋滞に遭っても目的地までの抜け道もよく知っている・・などなど、校内外の連携、特に幼・小・中・高等学校間の校種間連携や、SC等の心の専門家、関係機関と日常的に連携しながら「安心、安全な運転」ができるようにしておくことがとても大事であると言えます。