思春期の子どもへの関わり
  児童期の「決まりは大人から示された絶対的なものだから修正することはできない」という考え方は、思春期には「規則は互いの同意によって作られるもので、同意があれば修正は可能だ」という考え方へと移行していきます。

 「大人の指示に適合することが正しい」とする他律的な判断から、「公正さと相対的平等主義を重んじる」自律的な判断へと成長を遂げます。このような自律的な判断に達しつつある子どもに対して、親や教師が、その根拠を示さず、一方的に自分の信念や考えを子どもに押しつけたら、子どもの反抗をますます増幅させることになるでしょう。

 この時期には、親や教師が何を伝えたかということよりも、そのことを受け取る側の子どもがどんなふうに感じたかの方がずっと大きな意味をもっています。

 親や教師は、子どもが乗り越える「壁」となって思春期の子どもの前に立ちはだかることが必要でしょう。

 道徳的判断の基準について、互いの考えを伝え合い、吟味しあうことが子どもの成長を助けます。その際、大人の「壁」が軟弱なもので、踏み越えても耐えられるだけの強固さを備えたしっかりしたものでないと、子どもは「壁」を乗り越えることができません。

 子どものあるがままを受容し共感しながら、ルールとして与えなければならないことを「本気で伝える」という努力を親や教師は惜しんではならないと思います。
 
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