平成17年度の努力点


 各学校は、学習指導要領、「指導の重点」及び「『京の子ども、 夢・未来』プラン21−京都府の教育改革−」を踏まえ、校長主導の学校体制 の下、教育目標と学校経営方針を明確にした創意ある教育課程を編成し、日々の教育活 動の充実を図る。また、生涯にわたる学習の基盤を培うため、教育活動全体において基 礎・基本を徹底して「確かな学力」の向上を図るとともに、以下のことを重点課題とし て特色ある学校づくりに努める。

 小学校、中学校及び高等学校を通じた調和と統一のある教育内容を確立するとともに、 学社連携を推進し、児童生徒の学力の向上と進路希望の実現につながる指導の充実に努 める。

 学習指導要領及び幼稚園教育要領の趣旨に基づく教育活動の充実を図るとともに、 「子どものための京都式少人数教育」の趣旨を生かすなどして授業改善を推進し、個 性を生かす教育の充実に努める。また、LD、ADHD、高機能自閉症等を含め、障 害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援 教育の推進に努める。

 豊かな心を持ち、たくましく生きる児童生徒の育成を図るため、道徳教育の充実に努 める。また、児童生徒の健康で安全な生活の確保に努めるとともに、生命を大切にする 心をはぐくむ教育を充実する。生徒指導に当たっては、自らの課題を解決する意欲と実 践力を育成する。特に、不登校を起こさない指導の充実に努める。

 「新京都府人権教育・啓発推進計画」を踏まえ、これまでの成果と課題を明らかにし ながら、あらゆる教育活動を通じて人権教育を推進し、その中で、同和教育上の残され た課題の解決に向けて、積極的な取組に努める。

 豊かな人間性を培う体育・スポーツ活動や芸術文化活動の充実を図るとともに、生涯 を通じて実践できる能力や態度を育成する。

 児童生徒の発達段階を踏まえ、国際理解教育と環境教育の充実を図る。また、高度 情報通信社会の進展を踏まえた情報教育を推進し、情報社会に主体的に対応できる資 質や能力を育成する。

 学校週5日制の趣旨を踏まえた教育活動の充実を図るとともに、学校評価などを活用 しながら開かれた学校づくりを推進し、家庭や地域社会との連携を強める中で、それぞ れの教育機能を生かして、豊かな教育環境づくりに努める。

 管理職は、豊かな識見と的確な判断に立って校務全般に優れた指導力を発揮し、教職員 は、不断の研鑽(さん)と組織的な教育実践により、自覚と使命感を持っておのおのの職責 を遂行するとともに、教職員評価制度の活用などを通して自己の資質能力の向上に努める。 特に、校長は学校経営を評価し、改善に努めるとともに、部長、主任などは管理職と一体 となって、教育活動の活性化に努める。






1 特色ある学校づくり
 学校教育全般にわたって創意ある教育活動を展開し、児童生徒にとっては魅力ある 学校、家庭及び地域社会にとっては開かれた学校を目指し、特色ある学校づくりを通 して教育の活性化を図り、確かな学力、豊かな人間性、健康や体力などの「生きる 力」の育成に努める。
 そのため、学校の伝統や校風を大切にし、地域や学校の実態を十分考慮した教育目 標と、それを実現する指導体制により、学校評価などを実施し組織的・計画的・継続 的な実践に努める。

具体的対応

(1)  教育課程の編成に当たっては、学習指導要領の趣旨を踏まえ、各学校の課題を明確 にした教育目標の具現化を図るため、特色ある教育内容の創造に努める。
(2)  教育課程の実施に当たっては、全体計画と年間指導計画の充実に努め、児童生徒に 基礎的・基本的な内容を身に付けさせ、学力の充実・向上を図るとともに、その個性、 能力の十分な伸長に努める。
(3)  各学校においては、教育活動や学校運営についての学校評価等や情報の積極的な提 供を行うとともに、学校評議員制度などを活用して、家庭及び地域社会の信頼を得る 特色ある学校づくりに努める。
(4)  「総合的な学習の時間」については、学校における全教育活動との関連の下に、全 体計画を作成し、地域や学校、児童生徒の実態などに応じて、学校の創意工夫を生か した特色ある教育活動を展開するよう努める。

校種別目標

小・中学校
(1)  個性を生かし、意欲と能力を育てる教育の充実による学校の活性化
(2)  地域の自然や産業、文化、人材などを積極的に生かす教育の推進

高等学校
(1)  学科、系統、類・類型別の特色ある教育課程の編成
(2)  単位制、専門学科、総合学科、普通科総合選択制などの特色を生かした教育の活性化
(3)  学校外の人材や組織・機関などを活用した教育の推進

盲・聾・養護学校
   体験的活動を取り入れ、多様な教育的ニーズに対応した特色ある教育課程の編成




2 学習指導
 個に応じた指導を積極的に進め、基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせると ともに、自ら学ぶ意欲と自ら考える態度を育てる。
 また、児童生徒の学力の状況を的確に把握・分析し、校種間連携の下、学力の充実 ・向上を目指す取組を組織的に進める。

具体的対応


(1)  学習指導要領の趣旨を踏まえ、授業改善を進める。
(2)  指導内容の精選と重点化を図り、授業時数を確保しながら綿密な指導計画に基づき 指導する。
(3)  指導目標を明確にして、児童生徒に知識・理解はもとより、自ら学ぶ意欲や思考力、 判断力、表現力などを育成するため、少人数授業による学習内容の習熟の程度に応じ た指導やティームティーチングなどの指導方法、少人数学級などの指導体制を工夫改 善し、個に応じた指導の充実に努める。
(4)  学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況を見る評価を一層重視するとと もに、児童生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、きめ細かな指導に生かす。
(5)  「総合的な学習の時間」では、各教科等で身に付けた知識や技能を相互に関連付け、 総合的に働くようにするとともに、「総合的な学習の時間」で身に付けた力を各教科 等の学習の中で生かす。
(6)  「京都府子どもの読書活動推進計画」を踏まえ、司書教諭などすべての教職員が連携 して、読書活動を教育活動の中に適切に位置付け、読書活動の充実や図書資料の活用を 図り、読書意欲の向上や読書習慣の形成などに努めるとともに、学習・情報センターと しての学校図書館の計画的な利用を進める。
(7)  特別活動の実施に当たっては、望ましい集団活動や体験を通して、心身の調和のと れた発達を図るとともに、ガイダンスの機能を生かして個性の伸長に努める。

校種別目標

小学校
(1)  基礎学力診断テストなどを活用した学習状況の的確な把握と習熟の程度に応じる など個に応じた指導による学力の充実・向上
(2)  体験的な学習や問題解決的な学習などによる学習意欲の喚起

中学校
(1)  学力診断テストなどを活用した学習状況の的確な把握と習熟の程度に応じるなど 個に応じた指導による学力の充実・向上
(2)  学習に対する興味と関心を高め、自ら学ぶ態度を育てる指導方法の工夫改善

高等学校
(1)  学科、系統、類・類型ごとの目標と個に応じた指導の充実による学力の伸長
(2)  教科指導体制の充実と指導方法の改善による原級留置・中途退学の解消

盲・聾・養護学校
(1)  障害の状態、発達段階、特性などに応じた指導内容の精選と指導の充実
(2)  領域・教科を合わせた指導など指導方法の工夫改善




3 進路指導
 人間としての在り方生き方にかかわる指導を基盤にして、児童生徒一人一人の目的 意識を高め、キャリア教育を通して望ましい職業観や勤労観を身に付け、自らの進路 を主体的に切り拓(ひら)く能力や態度を育成する。
 そのため、教育活動全体を通じて、ガイダンスの機能を充実することにより、児童 生徒が自己の能力・適性、興味・関心などを的確に把握し、自己実現を図ることがで きるよう、校種間等の連携を強めて組織的・計画的・継続的な進路指導を推進する。

具体的対応

(1)  学級活動、ホームルーム活動においては、進路指導の年間計画に基づいて系統的な 指導・援助に努める。
(2)  進路相談を充実して、児童生徒を多面的に理解し、より豊かに自己を生かす能力や 態度の育成に努める。
(3)  勤労体験や職場の訪問・見学などの啓発的経験を得させる活動を充実する。
(4)  適切な進路情報を幅広く収集整理し、積極的かつ適正にその活用を図る。
(5)  進路指導にかかわる校内体制を充実するとともに、家庭や関係諸機関との十分な連 携を図る。
(6)  進路に関する指導力を高めるための研修を充実する。

校種別目標

小学校
 自己の特性に気付かせながら将来への希望を持たせ、その達成に向け意欲や能力を 高める指導の推進

中学校
(1)  進路希望の実現を目指す学力の充実・向上と組織的・計画的・継続的な進路指導の充実
(2)  進路指導資料の整備・活用と個に応じた進路相談の徹底

高等学校
(1)  目的意識を明確化させる系統的な進路指導の充実
(2)  進路希望の実現に向け、進路選択能力の涵(かん)養と学力向上を図るための指導の徹底

盲・聾・養護学校
(1)  自立し社会参加する能力の育成を図る指導の充実
(2)  進路希望の実現に向け、産業現場における実習など個に応じた指導の充実




4 特別支援教育
 ノーマライゼーションの進展を踏まえ、LD、ADHD、高機能自閉症等を含め、 障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じ、障害に基づく種々の困難の改善 ・克服を図りながら個性や能力の伸長に努め、生涯にわたって心豊かでたくましく生 きる力を培う。
 また、すべての児童生徒が障害のある人を正しく理解するための指導を計画的に行 う。

具体的対応

(1)  学習指導要領に基づき、障害のある児童生徒個々の教育的ニーズに応じた適切な教 育課程を編成し、自立し社会参加する資質や能力を育てる。
(2)  交流及び共同学習を教育活動全体に位置付け、計画的・継続的に推進するととも に、特別支援教育について保護者や地域社会の理解と認識を深めるための啓発に努 める。
(3)  各学校間や関係諸機関と連携し、相談を重視した就・修学の指導や進路指導の充実 に努める。

校種別目標

小・中学校
(1)  校内委員会を充実し特別支援教育コーディネーターを校務分掌に位置付けるなど、 障害のある児童生徒を学校全体として支援する校内体制の整備
(2)  障害児学級及び通級指導教室における個別の指導計画による個に応じた指導の推 進と指導方法の工夫改善
(3)  通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の障害のある児童生徒に 対する個別の指導計画の作成の促進と指導方法の工夫改善
(4)  障害のある児童生徒に対する個別の教育支援計画の策定に向けての検討
(5)  障害のある児童生徒の教育及び障害のある人についての正しい理解と認識を深める 指導の充実

高等学校
(1)  障害のある生徒についての理解を深め、支援を検討するための校内体制の整備
(2)  障害及び障害のある人についての正しい理解と認識を深める指導の充実

盲・聾・養護学校
(1)  障害の重度・重複化及び多様化に対応した専門的な教育機能の向上と校内体制の 整備
(2)  自立活動の指導の充実及び個別の指導計画による個に応じた指導の推進
(3)  高等部における職業教育の充実
(4)  医療、福祉、労働など関係機関、家庭及び地域社会との連携の推進並びに個別の教育 支援計画の作成の促進
(5)  地域における特別支援教育のセンター的役割の推進




5 幼稚園教育
 幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うことを基本とし、遊びを通しての指導を 中心として人間形成の基礎を培う。
 そのため、幼児との信頼関係を築き、教育環境を創造するように努める。

具体的対応

(1)  各幼稚園においては、幼稚園教育要領の趣旨を踏まえ、創意を生かした特色ある園 づくりに努める。
(2)  教育課程の編成に当たっては、教育期間や幼児の生活経験、心身の発達の過程など に配慮するとともに地域の実態に即応したものとする。
(3)  保育に当たっては、多様な体験や読書に親しむ活動などを積極的に取り入れ、幼児 期にふさわしい生活が展開されるようにするとともに、社会生活上のルールや道徳性 を生活の中で必要に応じて身に付けたり、基本的人権尊重の精神の芽生えを培ったり するように援助する。
(4)  幼児期の教育が小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、創 造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うため、家庭や保育所、小学校などと の連携を強化する。




6 へき地教育
 へき地、小規模及び複式形態の特性を生かした教育活動を推進し、学力の充実に努 めるとともに、確かな表現力、豊かな社会性及びたくましい実践力を身に付けた児童 生徒の育成を図る。

具体的対応

(1)  へき地、小規模の特性を踏まえ、個に応じた指導を工夫するとともに、主体的に学 習する意欲と態度を育てる。
(2)  複式学級の指導においては、児童生徒の実態に即し、効果的で効率的な指導計画の 作成と指導形態の工夫改善に努める。
(3)  恵まれた自然や地域の産業、伝統文化など地域の素材を積極的に取り上げ、特色あ る教育実践に努める。
(4)  校内の集団生活や合同授業、学校間の多様な交流を組織的・計画的に推進する。
(5)  へき地における学校、教職員の役割を自覚し、家庭、地域社会との連携及び学校間 の研究実践の交流に努める。




7 定時制・通信制教育
 定時制・通信制教育の目的に沿い、生徒の就・修学の促進を図り、働きながら学ぶ ことの意義を自覚させるとともに、生涯学習の観点や多様な生徒の実態を踏まえた的 確な教育実践を進める。
 また、家庭、職場、中学校、関係諸機関、地域社会などと連携を強化しながら、生 徒一人一人の学習や進路などの課題の解決に努める。

具体的対応

(1)  定時制においては、生徒一人一人の実態に即した適切な指導を行い、就労と学習の規則 正しい生活習慣を身に付けさせるとともに、指導内容や指導方法に工夫改善を加え、 学校生活全体を通して学習意欲の喚起と学力の向上に努める。
(2)  通信制においては、多様な生徒の実態に即して、レポート、スクーリングなどの学 習指導に工夫改善を図る。加えて、受講指導、学習方法の指導や生活面の相談など個 別指導を重視して、生涯にわたって学び続ける意欲と態度を育てるとともに、学力の 向上に努める。






1 道徳教育
 生命を大切にする心、他人を思いやる心など豊かな人間性をはぐくむ「心の教育」 のかなめとして、児童生徒の実態を考慮しながら、教育活動全体を通じて道徳性の育 成を図る。特に、道徳の時間においては、児童生徒の道徳的な心情を豊かにし、判断 力を高め、実践意欲と態度の向上を図ることによって道徳的実践力の育成に努める。

具体的対応

(1)  道徳教育の全体計画、学級における指導計画及び道徳の時間の年間指導計画の改善、 充実を図るとともに、これらに基づく指導の徹底に努める。
(2)  学校の創意工夫を生かしたボランティア活動などの社会奉仕体験活動、自然体験活 動などの豊かな体験活動及び豊かな心を育てる読書活動などを展開し、児童生徒の道 徳性を育てる。
(3)  道徳の時間では、体験活動を生かす工夫や魅力的な資料の活用、地域の人々の協力 など多様な学習指導を展開し、内面に根ざした道徳的実践力の育成を図る。
(4)  児童生徒の心に響き、道徳的価値の自覚を促す指導方法などについての研修を深め、 道徳の時間をはじめとする道徳教育の充実に努める。
(5)  授業公開などを通して、学校における道徳教育に対する保護者、地域社会の理解を 深めるよう努める。
(6)  家庭や地域社会と一体となって、好ましい人間関係、豊かな感性や社会性などを培 う道徳的実践を促す環境づくりに努める。

校種別目標

小学校
 人間としてよりよく生きるための基礎・基本を育てる指導の充実

中学校
 人間としてのよりよい生き方についての自覚を深める指導の充実

高等学校
 人間としての在り方生き方に関する指導を通した道徳性を育てる教育の充実

盲・聾・養護学校
   強く生きようとする意欲を高め、明るい生活態度を養う指導の充実




2 人権教育
 教育活動全体に人権教育を適切に位置付け、児童生徒の実態を的確に把握して、教 育の機会均等を図り、学力の充実や進路保障に努めるなど、一人一人を大切にした教 育の推進を図る。また、基本的人権や同和問題などさまざまな人権問題についての正 しい理解や認識の基礎と互いの個性や価値観の違いを認め、自己を尊重し、他者を尊 重する態度や実践力を培う。

具体的対応


(1)  「新京都府人権教育・啓発推進計画」と「指導の重点」を踏まえ、地域や学校の実 態を十分考慮した人権教育推進計画を策定する。また、校長主導の全校推進体制を充 実し、日常的な点検をしながら実践に努める。
(2)  人権教育の推進に当たっては、これまでの同和教育の中で積み上げられてきた成果 と手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重する心をはぐくむとともに、 同和問題を人権問題の重要な柱として位置付け、あらゆる人権問題の解決に向けた実 践的態度の育成を図る。
(3)  生涯にわたって学び続ける基盤を培うという視点に立って、児童生徒の学力の向上、 修学保障に努めるとともに、多様な進路を主体的に選択できる力を身に付けさせる。
 特に、課題の見られる児童生徒については、家庭との連携を強化し、個々の課題に即 したきめ細かな指導を進める。
(4)  校種間の連携及び学校間の交流を強化し、児童生徒の発達段階に即した体系的・計 画的な人権教育を推進する。
(5)  人権尊重を踏まえた教育活動を進めるため、研修を日常的・系統的に行い、人権意 識の高揚を図るとともに、人権教育を推進していくための認識の深化と指導力の向上 に努める。
(6)  さまざまな人権問題の解決を目指す総合的な取組を推進するため、社会教育や関係 行政機関との連携を強化するとともに、地域社会の深い信頼の下に実践を進める。

校種別目標

小学校
(1)  個々の課題に即した指導による基礎学力の定着・向上
(2)  身近な問題について、自ら気付き、主体的に考え、解決しようとする態度の育成

中学校
(1)  個に応じた指導の徹底を基盤とした進路指導の充実
(2)  さまざまな人権問題の正しい理解と問題解決のために行動できる技能や能力の育成

高等学校
(1)  社会的自立の促進を図る個別指導の徹底
(2)  さまざまな人権問題を自らの生き方の問題として捉(とら)え、その解決に向けた実践的態度の育成

盲・聾・養護学校
 障害の状態と発達段階に即した指導による心豊かでたくましく生きる力の育成




3 生徒指導
 人間の尊厳という観点に立ち、教育活動全体を通じて、児童生徒の個性の伸長と社 会的資質・能力・態度の育成を図り、よりよい人格の形成を促す。
 そのため、ガイダンスの機能の充実を図り、児童生徒の生活実態の把握や内面理解 に努め、個々の課題の解決を図るとともに、望ましい集団活動を通して、自らの課題 を解決する意欲と実践力を育成する。あわせて、校内指導体制を確立し、組織的・計 画的な指導を推進する。

具体的対応

(1)  児童生徒と教職員及び児童生徒相互の心のふれあいを大切にし、深い信頼関係に基 づく人間関係の育成に努める。
(2)  学習におけるつまずきやおくれなどが問題行動の要因となり得ることを踏まえ、目 的意識を持たせ、学習意欲を育てるよう努める。
(3)  特別活動を充実し、ボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他 の体験活動を通して、豊かでたくましい心の育成と、存在感、充実感のある学校生活 を送らせるための積極的な指導を進める。
(4)  不登校やいじめなどについては、個々の事象に対応できる教育相談機能を充実させ るとともに、その未然防止と解決に向けた総合的な取組の充実を図る。
(5)  規範意識を高める指導などについて研修を深め、生徒指導の機能を生かした教育活 動の展開に努める。
(6)  家庭、地域社会や関係諸機関との連携を強め、児童生徒の学校外の活動への参加を 促すとともに、薬物乱用防止など非行防止教室を積極的に実施するなど、児童生徒を 取り巻く環境の浄化や健全な文化の育成に努める。
(7)  児童虐待の早期発見に努めるとともに、関係機関と連携し、必要な支援を継続して行う。

校種別目標

小学校
(1)  基本的な生活習慣の確立と発達段階に応じた判断力、自律心の育成
(2)  好ましい友人関係の育成と体験的活動を通した社会性の伸長

中学校
(1)  主体的な規律ある生活の確立と、生命や人権の尊重を基盤とした正しい判断力と実践力の育成
(2)  好ましい人間関係の育成と体験的活動を通した自主性、自発性の育成

高等学校
(1)  自他の生命や人権の尊重を基盤とした正しい判断力と実践力の育成
(2)  人間としての在り方生き方を深く考えさせ、社会の一員としての自覚を促す指導の充実

盲・聾・養護学校
(1)  児童生徒の実態に合わせた活動を通し、正しい価値観と判断力の育成
(2)  家庭、地域社会や福祉施設などとの連携による基本的な生活習慣と社会性の育成




4 芸術文化活動
 創造性に富む情操豊かな人間を育成するため、児童生徒の豊かな感性と生涯に わたって芸術を愛好する心情をはぐくみ、新しい芸術文化の創造を目指す活動の 推進と充実に努める。

具体的対応

(1)  芸術文化活動を教育活動全体に関連付けて適切に行い、児童生徒の個性を生かし た主体的、創造的な活動への支援を通して表現能力や鑑賞能力の伸長に努める。
(2)  平成18年度「第30回全国高等学校総合文化祭(京都総文)」の成功に向け、芸 術文化活動の活性化を図るため、教育成果を発表する適切な場を設定し、学校間 の交流並びに校種間及び地域社会との連携を積極的に推進する。
(3)  身近にある地域の文化や文化財を教材として取り扱うことや、和楽器を用いた り、長い間親しまれてきた唱歌、わらべうた、民謡など日本のうたを取り扱ったり することに努めるとともに、我が国及び諸外国の文化や伝統を尊重する態度の育成 を図る。
(4)  授業や部活動などにおける、優れた地域の芸術家や、芸術文化活動の指導者、文化 財保護に携わる者などと教職員が協力して指導を行う取組を促進する。

校種別目標

小学校
(1)  身近な自然や芸術文化への積極的なかかわりと豊かな表現活動の重視
(2)  学芸的行事、クラブ活動の充実と発表会などへの参加の促進

中学校
(1)  表現・鑑賞活動を通した創造の喜びや共通の感動体験の重視
(2)  学芸的行事、文化部活動の充実と発表会などへの積極的な参加

高等学校
(1)  芸術文化諸活動を通した優れた美的体験の重視と芸術的な能力の育成
(2)  文化部活動の充実と活性化及び各種芸術祭などへの積極的な参加

盲・聾・養護学校
(1)  児童生徒の表現・創造意欲の育成と個性を生かす指導の充実
(2)  豊かな感受性や表現力の伸長と各種発表会への参加




5 体育・スポーツ活動
 健全な心身の発達を促し、豊かな人間性を培い、明るく豊かで生きがいある生活を 営むため、生涯を通じて、体育・スポーツ活動に親しむことができる能力や態度を育 てる。

具体的対応

(1)  体育・スポーツ活動を教育活動全体を通じて適切に行い、特色ある学校体育の充実を図る。
(2)  運動することの楽しさや喜びを体験させるとともに、新体力テストの結果をもとに、自 己の体力について理解させ、体力・運動能力の向上を図る。
(3)  競技スポーツの充実のため、家庭、校種間、地域のスポーツクラブ、競技団体など との連携により、体育クラブ及び運動部活動の充実・発展と一貫指導体制の確立を図 る。

校種別目標

小学校
(1)  豊かで楽しい運動経験を通した体力つくりの工夫
(2)  体育的行事、体育クラブの充実と児童の発達段階に応じ、地域大会への積極的な参加など 競技スポーツの特性にふれさせる特色ある活動の推進

中学校
(1)  選択制授業の充実と個に応じた指導方法の工夫
(2)  体育的行事、運動部活動の充実と各種大会への積極的な参加、高等学校との連携による競技 力の向上

高等学校
(1)  生涯にわたるスポーツ習慣を形成するための指導方法の工夫
(2)  特色ある運動部活動の充実、強化運動部の指定などによる水準の高いスポーツ活 動の継続・発展と競技力の向上

盲・聾・養護学校
 体育・スポーツへの興味・関心の高揚と大会などへの積極的な参加と交流




6 健康安全教育
 健康に関する総合的な認識を高めながら、基本的な生活習慣を確立させ、生涯を通じて心 身ともに健康で安全に生き抜く、たくましい実践力を身に付けた児童生徒を育成する。
 そのため、自他の生命尊重を基盤とする学校保健、危機管理を含む学校安全、学校給食な どを中心として、各教科等とも相互に関連を図るとともに、家庭や地域社会との連携を強化 し、教育活動全体を通じて組織的に取り組む。

具体的対応

(1)  健康安全教育の推進体制を機能させ、自ら健康な生活を営むことができる望ましい 行動への変容を図り、児童生徒の実態に即した保健教育と保健管理を徹底する。
(2)  喫煙・薬物乱用などの防止、結核をはじめとする感染症や生活習慣病の予防など健康 に関する現代的課題に適切に対応する。また性の逸脱行為や若年層の性感染症の増加を 踏まえ、エイズに関する指導を含む性教育を生命の尊厳や人権尊重を基盤とした人間教 育として捉(とら)え、発達段階に応じた指導内容や指導方法を工夫し、系統的・総合的に 推進する。
(3)  危機管理体制を整備・充実し、学校独自の「危機管理マニュアル」を検証し改善す ることにより、教職員がその意識を高め、あらゆる教育活動において幼児児童生徒の 安全確保に努める。
(4)  事故災害などの実態を明らかにして教材化し、安全指導と安全管理を徹底する中で、 潜在危険を予測する能力を高め、安全な生活を営む正しい判断力と実践力を養う。特 に、日常的な安全管理に関する対策、交通安全指導の徹底及び地震防災安全教育の充 実を図る。
(5)  食に関する指導の重要性から、児童生徒の望ましい食習慣の形成や好ましい人間関 係を育てるなど、学校給食を中心として、家庭・地域社会と連携しながら指導の充実 を図る。また、学校給食における食中毒防止のための衛生管理を徹底する。

校種別目標

小学校
(1)  心身の健康の基礎となる基本的な生活習慣を形成する能力と態度の育成
(2)  身の回りの危険を判断し、自ら安全な行動がとれる能力と態度の育成
(3)  望ましい食習慣を身に付けた健康的な生活を自ら実践する能力と態度の育成

中学校
(1)  自ら心身の健康上の課題に適切に対処する能力と態度の育成
(2)  自分や他者の危険を予測し、自ら安全な行動がとれる能力と態度の育成
(3)  食生活を自己管理する能力と態度の育成

高等学校
(1)  生涯を通じて自らの心身の健康を適切に管理し、改善する能力と態度の育成
(2)  二輪車などの事故防止及びあらゆる機会を通した交通安全指導の徹底

盲・聾・養護学校
 障害や疾病についての理解と健康で安全な生活を営むための能力と態度の育成





1 国際理解教育
 国際社会に主体的に生きる日本人としての基礎的資質を養うため、人権尊重の精神 を基盤にして、我が国の文化と伝統などを尊重するとともに、異文化を理解し尊重する 態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく資質や能力を育成する。

具体的対応

(1)  国際社会に生きる日本人の育成という観点から、学習指導要領に示された各教科等 における指導内容を踏まえ、体験的な学習や課題学習などを取り入れて、年間指導計 画に位置付けるとともに、教育活動全体を通じて組織的・計画的な実践に努める。
(2)  自分の考えを持ち、相手に伝わるように表現する態度を養うとともに、外国の人々 とのコミュニケーション能力の育成に努める。
(3)  国際化が進展する中、我が国の国旗と国歌の意義を理解し、これを尊重する態度を 育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てる。
(4)  海外から帰国した児童生徒などについては、学校生活への適応を図るとともに、外 国における生活経験を生かすなど適切な指導に努める。

校種別目標

小・中学校
 広い視野を持ち、異なる文化を持つ人々と共に生きていく資質や能力の育成

高等学校
 国際社会において、相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意志を表現できる能力 と態度の育成

盲・聾・養護学校
   児童生徒の実態に合わせた異文化理解及びコミュニケーションの能力と態度の育成




2 環境教育
   身近な環境や環境問題に関心を持ち、人間と環境とのかかわりについて理解を深 め、環境の保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的態度や能力の 育成に努める。
 そのため、教職員の共通理解の下に、教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階 を踏まえた組織的・計画的な取組を推進する。

具体的対応


(1)  環境教育にかかわる各教科等の指導内容とそれらの関連付けを明確にした年間指導 計画に基づき、総合的・系統的な指導に努める。
(2)  児童生徒や地域の実態を踏まえ、体験的な学習や問題解決的な学習など指導方法を 工夫し、環境に対する豊かな感受性と環境に配慮した生活や行動ができる態度の育成 に努める。
(3)  循環型社会を目指し、学校、家庭、地域社会及び関係諸機関の連携を図り、それぞ れの教育機能を生かした環境教育の推進に努める。

校種別目標

小学校
 身近な環境に意欲的にかかわり、問題を見いだし、考え判断し、よりよい環境づくり や環境の保全に配慮した望ましい行動がとれる態度の育成

中学校
 環境にかかわる事象の因果関係や相互関係を把握し、問題解決能力及び環境の保全 や改善に主体的に取り組む態度の育成

高等学校
 環境にかかわる諸問題を総合的に考え判断し、望ましい選択と意思決定を行う能力 及びよりよい環境の創造活動に主体的に取り組む態度の育成

盲・聾・養護学校
 身近な環境に親しみ、具体的な活動や体験を通して、環境の保全や改善に取り組む 意欲と態度の育成




3 情報教育
 社会の高度情報化に伴い、児童生徒の発達段階に応じ、情報を主体的に選択し、活 用できる能力や情報社会に参画する態度などの情報活用能力の育成に努める。特に、 情報の価値についての認識を高めるとともに、情報モラルに関する指導の充実に努め る。
 また、学校における教育の情報化及び情報教育の総合的・計画的な取組を推進す る。

具体的対応

(1)  教育活動全体を通じて情報教育が推進できるよう、各教科等の目標や内容及び相互 の関連を踏まえ、年間指導計画に位置付ける。
(2)  各教科等の指導に当たっては、情報通信ネットワークやコンピュータなどの教育機器 を積極的に活用して、児童生徒の興味・関心に応じた主体的な学習を展開するなど、 指導方法の工夫改善に努める。

校種別目標

小学校
(1)  情報通信ネットワークやコンピュータなどに慣れ親しみ、身近な道具として適切に 使いこなせる能力と態度の育成
(2)  プライバシーの保護や著作権などの基礎的な情報モラルやマナーの育成

中学校
(1)  情報通信ネットワークやコンピュータなどを、主体的に学び他者とコミュニケーショ ンを行う道具として積極的に活用する能力と態度の育成
(2)  情報化の影の部分についての理解の深化と情報モラルの育成

高等学校
(1)  教科「情報」の学習及び情報通信ネットワークやコンピュータなどの活用を通して、 主体的に学び考え、自分の意見を的確に表現できる能力と態度の育成
(2)  多様な目的のための情報活用能力の育成と情報通信ネットワークなどの活用に伴う 倫理観の育成

盲・聾・養護学校
 児童生徒の実態に合わせた情報機器の積極的な活用と情報活用能力の育成






1 教職員の使命と責任
 教職員は、教育公務員として公教育に課せられた使命と責任を自覚し、教育関係諸 法令を守るとともに、教職に対する愛着と誇りを持ち、心身の健康管理に留意して、 豊かな人間性、広い社会性及び高い専門性を基盤とした実践的指導力の向上を図り、 府民の信託と期待に応(こた)えなければならない。

具体的対応

(1)  教職員は、人間の成長や発達についての深い理解と児童生徒に対する教育的愛情を 持ち、児童生徒や保護者との信頼関係を確立するとともに、ボランティア活動など広 く社会とかかわり、学校の内外を問わず、幅広い人間関係を築くことによって、自己 の人間性を豊かにするよう努める。
(2)  教職員は、広い視野から社会の変化や時代のニーズを的確に把握する感性を持ち、 常に意識改革に努めることにより、児童生徒や保護者の多様な価値観に適切に対応す るとともに、教職員相互の連携・協働体制の確立を図り、組織としての学校の教育力 を高めるよう努める。
(3)  教職員は、豊かな識見と専門性に基づいた確かな指導力と自ら学び続ける意欲を持 ち、教職員評価制度の活用などを通して自己の資質能力の向上に努めるとともに、常 に計画的・継続的な教育実践に取り組み、公教育の推進を目指す。




2 教職員研修
 教職員は、不断の研鑚(さん)によって自己の人格の陶冶(や)を図るとともに、その職務 の遂行に当たっては、社会の変化を的確に把握し、学校教育に寄せられた期待に応(こた)える よう努めなければならない。

具体的対応

(1)  校長は、年間研修計画などを策定するとともに、研修組織を整備し、教職員の研修 と研修成果の発表の機会を設定して、学校の教育力の向上に努める。
 特に、初任者及び10年経験者研修の趣旨を踏まえ、勤務校研修の充実に努める。
(2)  教職員は、京都府総合教育センターや本府などが行う各種の公的研修に積極的に参 加し、その成果を校内研修や教育実践に生かすなど、常に指導力の向上に努める。
 特に、中堅教員は、教育活動の中心としての自覚と力量の向上に努める。
(3)  国の研究機関、大学・大学院、民間企業等での長期研修や海外派遣研修参加者の研 修成果の活用とその波及を図る。
(4)  公教育を進める研究会は、教育委員会との密接な連携の下に教育水準の維持、向上 を図るため、それぞれの教育課題を踏まえた研究活動を進める。