歴史学ラボ

平成23年度の取組

 歴史学ラボでは、「日本史と世界史の出会い」をテーマとして選び、その歴史的事象をさまざまな視点から、歴史を多面的・複眼的に理解できることをめざしています。
 「幕末・維新時期の日米関係」というテーマでは、広島経済大学の田中泉先生に「最初の日系アメリカ人ジョセフ=ヒコ」という題目で特別講義をしていただきました。ジョセフ=ヒコ(彦蔵)は、播磨(現、兵庫県)で生まれ、江戸見物の帰路、乗船した船が漂流してアメリカ船に救助された後、アメリカに渡りアメリカ国籍を得て、通訳としてハリスに同行して日本に戻ってきた人物です。幕末から維新にかけて、日本とアメリカとの交流に尽力した人物で、滞米中にリンカン大統領と面会した唯一の日本人としても有名です。また、日本で初めて新聞を発刊した人物で「新聞王」とも言われています。
 「日本国の成立」というテーマでは、特に中国側の史料(『二十四史』)に「日本」がどのように記されているのかを、原典史料に直接当たるとともに、日本側の史料である『古事記』・『日本書紀』についても調べました。唐代の歴史を記した『旧唐書』には、情報の混乱から「倭国」と「日本国」が並列して記されていますが、『新唐書』以後は一貫して「日本国」になっています。このことから、唐代に「日本国」という国号が成立したことがわかります。

 「日中文化交流」というテーマでは、京都府立大学の渡辺信一郎先生に「遣隋使の音楽の交流」という題目で特別講義をしていただきました。『隋書』倭国伝には「隋の開皇20年(600年)に遣隋使が派遣されてきた」という記述があるのに、日本側の史料にはその記述が全く無いのは何故か、というこれまで日本史の謎とされてきた問題を、音楽の交流という視点からその理由を解明された内容で、現代歴史学の最新の成果を講義していただきました。