京都文化論

 京都文化論は、京都こすもす科の人文社会系統・国際文化系統が学習する「アカデミック・ラボ」の中に設置された、嵯峨野高校にしかない専門科目です。
 わたしたちのふるさと「京都」の歴史・伝統や文化を学ぶとともに、これからの「京都」の担い手として「京都」の将来を考察し、最後には「京都の未来を創造する」と題して論文を作成します。
 その中で、「京都」を現場として学ぶこと、すなわち、「京都」の街や人から体験的に学習することを重視し、「フィールドワーク」や「社会人講師」など特色ある授業を展開しています。
 
 このページでは、平成21(2009)年度の主な内容(フィールドワークや社会人講師の特別講義など)を御報告します。


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(1) 嵯峨野の歴史

蛇塚

蛇塚古墳等フィールドワーク

 京都の歴史・文化を学ぶ第一歩として、嵯峨野高校の地域の歴史を学んでいます。
 5月12日、最初のフィールドワークとして、平安京遷都以前の嵯峨野に勢力を張った秦氏の遺跡と考えられている蛇塚古墳、仲野親王陵古墳を見学しました。写真上は蛇塚古墳の石室の内部ですが、約40人が入っても十分に広く、また初夏の午後にもかかわらず、ひんやりとした空気を保っていました。
 これらは、学校の少し南側、歩いて数分〜十分程度のところに位置しており、特に仲野親王陵古墳は教室の窓からよく見えます。
(歴史ラボと合同)

広隆寺等フィールドワーク

 5月19日、先週に引き続いて、学校から歩いて行ける範囲内にある、広隆寺と木嶋(このしま)神社を訪れました。
 広隆寺は上記の秦氏の氏寺です。霊宝殿では有名な国宝・半跏思惟像(弥勒菩薩像)や、平安時代初期の風格ある仏像の数々に感銘を受けました。とりわけ、古文の学習(『宇治拾遺物語』)に出てきた不動明王の仏像が、生徒たちの注目を集めました。また、講堂(写真中)は京都市内でも珍しい平安時代の建築の遺構です(1165年。ただし、のちに大きく改造されています)。
 木嶋神社は701年には存在していた古い神社で、秦氏が養蚕の神を祀ったことから「蚕ノ社(かいこのやしろ)」の通称で知られています。最近では、三本足の三鳥居(みつとりい)(写真下)が有名になっており、「キリスト教に関係があるのでは?」などと想像する人もいます。街中にありながら鬱蒼とした古社の森で、古代の信仰に思いを馳せました。
(歴史ラボと合同)
広隆寺講堂
木嶋神社
 
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(2) 祇園祭

鯉山保存会

山鉾保存会聞き取りフィールドワーク

 6月23日(火)、祇園祭の山鉾保存会を訪問し、祭を支えておられる方々に、その御苦労や伝統の継承にかける想いをうかがいました。
 訪問に先立って、祇園祭の歴史や神事としての意義について学習し、各山鉾について、それぞれの概要や歴史、見どころなどを調査しました。
 訪問に当たっては事前のアポイント取りなど、生徒にとって緊張する場面もありましたが、保存会の皆さんの祇園祭に対する熱い想いに心を打たれるなど、直接お話を聞くことの大切さを学びました。
 今年は、芦刈山、函谷鉾、蟷螂山(とうろうやま)、鯉山の各保存会様にお世話になりました。ありがとうございました。

宵山フィールドワーク

 7月14日(火)、宵山(「宵々山」は俗称)の御町内を参観するフィールドワークを行いました。
 間近に見る各山鉾の迫力に圧倒されながら、これからの祇園祭のあり方などを考察しました。 

蟷螂山でのボランティア活動

 毎年、このフィールドワークをきっかけに、ボランティアとして祇園祭に参加する生徒がおりますが、今年は20名が蟷螂山の御町内で宵山行事をお手伝いすることになりました。京都和装産業振興財団の御協力をいただいて事前にゆかたの着付けを実習するなど、準備にも力を入れ、例年以上に充実した活動ができました。
 生徒たちは、お客さんに喜んでもらったことや町内の方々との交流に感激する一方、観光客からの質問に的確に答えられなかったなど自分たちの力不足を口惜しく思っていたようです。ぜひ今後もボランティア活動を続けてみたいと希望する生徒も多く、伝統への参画が定着しつつあることを心強く感じます。
 
宵山
ボランティア
 
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(3) 人文社会フィールドワーク

 7月30日(木)〜31日(金)、人文社会フィールドワークを京都市及びその周辺で実施しました。1日目は、世界遺産「古都京都の文化財」の一つである仁和寺境内の施設での特別講義や、周辺でのフィールドワークを行い、2日目はバスで移動しながら京都市周辺の寺社でフィールドワークを実施しました。(歴史ラボ、古典文学・伝統芸能鑑賞ラボと合同、普通科II類人文系の希望者も参加)
 詳細については、人文社会フィールドワークのページをごらんください。
 
 
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(4) 狂言ワークショップ

 9月・10月には、「古典の日」を普及・推進する取組の一環として、京都を代表する古典芸能の一つである大蔵流狂言師・茂山千五郎家から茂山正邦先生を講師にお招きして、狂言と小舞を実地に学びました。また、その成果を10月31日(土)の「古典の日記念ワークショップ」で舞台発表しました。(歴史ラボ、古典文学・伝統芸能鑑賞ラボと合同)
 詳細については、古典の日推進事業のページをごらんください。
 
 
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(5) 伝統産業から京都の未来を考える

堀木エリ子&アソシエイツ

フィールドワークI 「和紙の新しい可能性と魅力」

 11月17日(火)、京都市右京区の(株)堀木エリ子 & アソシエイツのショールームを訪問し、伝統的な和紙の技法をもとに新しい創造を展開しておられる様子を拝見してきました。
 同社は和紙インテリアアートの企画・制作・施工を営んでおられ、その作品は首相官邸や成田国際空港、京都ではキャンパスプラザやタワーホテルなど、多くの公共空間を飾っています。
 幾層にも重ねてすかれた和紙のスクリーンが、光の当て方によってガラリと様相を変える美しさに息を呑み、伝統の技やそれを伝えてきた人々の尊さを再認識しました。
 また、堀木さんの創造のプロセスを映像で拝見し、「なにごとも、まず『できる』を前提に考える。『できない』という選択肢を捨て、『どうやったらできるか』を追求する」というお話などから、人間の生き方や在り方について大切なことを学ばせていただきました。

 
老松

フィールドワークII 「和菓子づくりの体験」

 12月8日(火)、京菓子の老舗 老松 嵐山店で、同社の職人さんの御指導による和菓子づくりを体験しました。
 「こなし(小麦粉と餡、砂糖を蒸しこねたもの)」を材料に、ヘラだけで形を作っていくのですが、生徒たちは悪戦苦闘、職人の手業の尊さを実感しました。
 ・京菓子は本来、一つ一つがオーダーメイドで、食べる人や場所、季節などを考え総合する創作であること。
 ・和菓子は五感で味わうものであり、特に重要なのは聴覚−すなわち菓銘(菓子の名前)を聞き、季節感や趣向を楽しむものであること。
 ・京都の高い湿度も京菓子を育んできた条件の一つであること。(菓子の生地は乾燥に弱いため)
 そうした京菓子の歴史や背景についてもお話をうかがい、京都の伝統や感性が、ここにも息づいていることを学びました。
 生徒の一人は、「和菓子は、落ち着いた心で、自分を見つめ直し、自然と心が食べた瞬間一体になれるものだと、今日、自分でつくった菓子を食べるという経験をしてみて分かりました」と述べていました。

 
 
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(6) 最終レポート 「京都の未来を創造する」

1年間の学習の締めくくりとして、全員が自分が住んでいる地域の文化を活用した、地域の未来やまちづくりに関して提言するレポートを作成します。

小暮宣雄先生

特別講義 「文化のまちをデザインしよう 〜秘密の本棚にそっと手を伸ばすように」

 最終レポートの作成に向けて、1月26日(火)、京都橘大学教授・小暮宣雄先生から「文化のまちをデザインしよう」と題した特別講義を受けました。
 まちづくりを企画する上では、もの(ハードウェア)・ひと(ヒューマンウェア)・こと(ソフトウェア)の3つの要素を組み合わせて、まちの物語を作ることが必要であることなどについて、お話をいただきました。
 「まちづくり」という課題に身構えることなく、身近なところから発想すればよいことをお示しいただいて、レポートの作成に向けて弾みをつけることができました。

 
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最終レポート 最優秀作品(3点)
京都文化論受講生徒31人が作成した最終レポートのうち、最優秀作品として評価された3点を紹介します。
サムネイル画像をクリックすると、pdfファイルが開きます。(掲載は市町村順)
 
(1) 大原野〜偉人の眺め〜 お寺・神社巡りの旅 (京都市西京区)
「花の寺」と呼ばれる勝持寺、西国三十三カ所の一つ善峯寺など7つの寺社をめぐるコースを設定し、西京区大原野地区の歴史や環境をPRします。
ワープロによるレイアウトの中に、手書き文字で楽しい「寄り道」が書き込まれた、センスの良いデザインも高く評価されました。
 
(2) 城陽市 昔話・民話の舞台を巡る (城陽市)
「夜叉婆さん」・「帆かけ船の一家」・「牛馬の守護月神」という3つの民話の舞台をめぐり、城陽市に新しい観光名所を生み出す提案です。
地元の古い伝承に光を当て(ソフトウェア)、古社・流れ橋・狛牛というポイント(ハードウェア)の間を人が動いてゆく(ヒューマンウェア)、3要素のバランスの良さが評価されました。
 
(3) 「こざくらまつり」 桜と美味いもん 園部城下の小さな桜の町から届けます (南丹市園部町)
自宅近くの桜並木の公園を舞台に、地元産の京野菜とお米などを用いた料理やお菓子で客をもてなす、新しい祭の創造を提案します。
あふれるような町への愛情と、美しいカラーイラスト満載のデザインが高く評価されました。
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