人文社会フィールドワーク

 7月30日(木)〜31日(金)、1年生の人文社会フィールドワークを京都市及びその周辺で実施し、京都こすもす科のアカデミック・ラボ「京都文化論」、「歴史」、「古典文学・伝統芸能鑑賞」の3つに所属する生徒と、普通科第II類人文系の希望者が参加しました。
 1日目は、世界遺産「古都京都の文化財」の一つである仁和寺境内の施設での特別講義や、周辺でのフィールドワークを行い、2日目はバスで移動しながら京都市周辺の寺社でフィールドワークを実施しました。
 
朧谷先生

(1) 特別講義「古典文学と京都」 (同志社女子大学名誉教授 朧谷 寿 先生)

 平安時代、特に王朝時代の政治・生活文化や藤原氏の研究の権威である朧谷先生から、藤原道長とその娘たちを中心とする宮廷生活の様相や、天皇の皇子が「源氏」になることの意味などについて御講義をいただき、古典文学の背景をより深く理解することができました。

 (2) 特別講義「香りに学ぶ京都の歴史」 (京都府教育委員会委員 畑 正高 先生)

 京都府の教育委員に就任しておられる香老舗 松栄堂社長の畑先生から、王朝文化における香の役割や、『源氏物語』における香の描写について、御講義をいただきました。
 香の薫りに着目することで、光源氏の登場が一層鮮やかに浮かび上がることなど、古典文学を読むことの奥深さを再認識しました。

(3) 体験講座・組香「空蝉香」 (香老舗 松栄堂)

 王朝文化受容の歴史を伝える「組香」を体験しました。組香とは、香りによって主題を表現し、香りを聞くことでその趣向を味わうものです。
 今回は、『源氏物語』の「空蝉」帖をテーマとした「空蝉香」(5つの香炉がまわってくる中で、1つだけ違う香りのもの〜光源氏を象徴する〜を聞きあてる)に取り組みました。

(4) フィールドワークI <仁和寺>

 今日の研修場所である仁和寺は、宇多天皇が888(仁和4)年に創建し、時の元号(年号)を寺の名前とし、幕末まで法親王(皇族)が歴代の門跡として住んだ、由緒ある寺院です。
 仁和寺のお坊さんから寺の歴史や伽藍の見所についてお話を伺い、その後、境内を参観しました。特に、近世の宮廷建築の趣を遺す御殿のたたずまいは、美しいものでした。
 また2日目の朝には、希望者が金堂(国宝)で営まれる勤行に参加し、早朝の境内の清浄な雰囲気や、歴史ある聲明(しょうみょう)の玄妙な響きを堪能しました。

(5) フィールドワークII <野宮神社>

 平安時代、伊勢神宮に斎宮として奉仕する皇女が伊勢に向かう前に潔斎(身を清めること)の期間を過ごしたのが野宮です。古典文学では『源氏物語』「賢木」帖に、光源氏と六条御息所の別離の舞台として登場します。
 平安京周辺にいくつかの史跡が残っていますが、黒木の鳥居(樹皮がついたままの木材でつくられた鳥居)など、その風情を最も良く伝える嵯峨嵐山の野宮神社を訪問しました。

(6) 講義「京都の史跡」 (本校教員)

 2日目のフィールドワークで訪れる醍醐寺・法界寺・石清水八幡宮の歴史や特徴を通じて、平安時代の仏教(密教・浄土教・神仏習合)について学びました。

(7) フィールドワークIII <醍醐寺>

 応仁の乱などの戦火のため、京都には鎌倉時代以前の建築物がほとんど残っていません(東寺の五重塔も清水の舞台も、建物としては江戸時代初期のものです)。京都市内最古の木造建築は、951年に創建されて現存する醍醐寺五重塔です。
 2日目は、まず、醍醐山の静かで奥深い雰囲気の中に建つ堂塔を訪ね、古雅な造形美を堪能しました。同じ五重塔でも東寺や仁和寺のような江戸時代のものは下層から上層まで屋根の大きさがほぼ等しいのですが、ここでは上層がかなり小さくなり、屋根の反りと相まって、絶妙なバランスを保っています。
 また、豪壮華麗な三宝院の建築と庭園では、「醍醐の花見」で知られる豊臣秀吉の栄華を偲びました。

(8) フィールドワークIV <法界寺>

 平安時代中期、極楽浄土への往生を願う浄土教が人々の信仰を集め、阿弥陀堂や阿弥陀如来像が多く造られました。中でも藤原頼通が建立した平等院鳳凰堂(昨年のフィールドワークで訪問)が有名です。
 醍醐寺から南へ約2km、伏見区日野の法界寺には、平等院に匹敵する優れた阿弥陀如来像が安置されています(高校日本史の教科書には必ず掲載されている仏像です)。
 御住職の案内で拝観させていただき、万人を包み込むような大きな姿と円満な表情に圧倒されてしまいました。
 阿弥陀堂前の池に咲いていた蓮の花の清冽な美しさも印象的でした。

(9) フィールドワークV <石清水八幡宮>

 中学生時代に学んだ『徒然草』52段「仁和寺にある法師」で有名な石清水八幡宮を訪問しました。
 平安京の裏鬼門(南西)の方角を守護し悪霊・疫病などの侵入を防ぐ役割を持った社で、幕末までは神仏習合のため仏教色の強いところだったといいます。また、清和源氏の氏神としても尊崇され、鎌倉幕府は鶴岡八幡宮へ分霊を行い、室町幕府は6代将軍を決定するクジ引きをこの社前で行いました。
 生徒たちは、平安京=京都市内を一望する眺めに歓声を上げ、石清水の歴史を語る神職の御説明に耳を傾けていました。

畑先生
組香体験
仁和寺金堂
野宮神社
醍醐寺
法界寺阿弥陀如来像
石清水八幡宮
 
直線上に配置
 



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