校長室




平成26年度入学式 校長式辞

平成26年4月8日 校長 温井 裕二

 


 うららかな春の日差しが万物の生命に息吹きと躍動を与え、ここ洛東の地も春爛漫の季節となってまいりました。
 この佳き日に、平成26年度第61回入学式を挙行いたしましたところ、公私ともに御多用の中、御臨席を賜りました御来賓の皆様には、高壇からではございますが、厚く御礼申し上げます。
また、今日まで物心両面にわたり、様々な御心配や御苦労を重ねてこられながらも、深い愛情をもってお育てになられました保護者の皆様には、お子様の御入学に際し心からお祝いを申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました、280名の入学生の皆さん、あらためて入学おめでとうございます。
皆さんは、入学の喜びと、高校生活への期待で胸をふくらませていることと思います。一方、これからの高校生活に対する不安もあるのではないでしょうか。どうか一日も早く新しい環境で、楽しく充実した高校生活を送ってくれることを願っています。
ところで、皆さんは、今日、校門をくぐったその正面に「正しく働き、正しく生きる」と書かれた大きな石碑に気付かれたでしょうか。これは、大正・昭和期の哲学者、天野貞祐博士の言葉で、本校の校是、すなわち教育目標です。
博士の「秀才論」の中にあります「個人より一次元高い、集団社会の一員」として必用なことを表現したものです。具体的な「目標」として七項目があげられています。その中にはいくつかのキーワードがあります。「知性」「理性」「ユーモア」「信頼」「礼儀」「責任と義務」「良識」などです。入学のしおりの十二ページに載っていますので、是非、目を通してください。 一方、今年度より高校入試制度が改定され、各府立高校が新しい教育制度に取り組む中、洛東高校も次の地域を担う人材を育てるべくより良い教育を目指して学校改革を行っていきます。創立六十年を終え、干支暦でちょうど、二巡目にはいる皆さんは新生洛東高校の第一期生とも言えます。伝統に誇りを持ちながらも、よりよい学校作りのための主人公となってください。
高校で学ぶ三年間は、新しい知識を修得する上でも、心身を鍛える上でも、人間形成の上でも、人生において最も大切な時期にあたります。何故なら、もう目の前に社会が待っているからです。自分の将来の目標を真剣に考え、自分の進路を自ら切り拓いていく積極的な生き方が求められます。世の中がかくも多様化し、以前とは異なった価値観が求められる昨今ですが、難しいことはいりません。「誰にでも出来ること」を、誰にも出来ないくらいやってみるのです。自分自身が認めることの出来る、真の自分を確立してください。
そして、高校生にとっての基本は学習です。自ら進んで学習し、授業では受け身の姿勢ではなく、積極的に、しっかりとした学力を身に付けてください。皆さんが望まなければ決して、学力は身につきません。
もう一つ、部活動に積極的に参加してください。一生のうちでも、今しかないこの時期に、今しか出来ない部活動です。
何かに打ち込み、心身を鍛え、感性を磨き、かけがえのない仲間を作ること。必ずや皆さんの一生の宝物になることでしょう。
充実した日々を送り、生徒会活動や学校行事などに積極的に参加し、様々な友人と出会い、切磋琢磨しながら心身ともに大きく成長してくれることを心から願っています。
また、これからの日本は、少子高齢化、環境問題、エネルギー問題、経済の先行き、雇用環境の変化など、国内だけでなく国際的にも状況が次々と変化する難しい時代と言えます。
反面、我々は世界に誇れる多くのものを持っています。東日本大震災後の被災地の方々の振るまいに代表される秩序ある行動。東京オリンピック決定以降、関心が高まっている日本の「おもてなし」。世界中の人々が感嘆したり、賞賛されています。他にも、礼儀正しさ、正確さ、勤勉さ、技術力、等々、大切にし、受け継いでいくべきことがたくさんあります。
次代の日本を背負って立つ皆さんには、常に問題意識を持ち、表面的な流行に流されることなく、「自分で考え、自分で行動する」人間として育って欲しいと心から願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様方に一言、お願いを申し上げます。この度、ご縁がありお預かりいたしましたお子様の教育には、本校教職員一同全力で取り組む所存ではありますが、それに加えてお子様の健やかな成長には保護者の皆様の御協力と御支援が不可欠であると考えております。本校における教育活動につきまして、なにとぞその趣旨を御理解いただき、御協力と御支援を賜りますようお願い申し上げます。
それでは新入生の皆さん、健康には充分留意して、三年後には、感動的な卒業式が迎えられますよう、目標に向かって、充実した高校生活を送ってください。そのことを心からお願いして私の式辞といたします。

平成26年4月8日 京都府立洛東高等学校  校長  温 井 裕 二

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