京都府立盲学校

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昭和54年8月4日
全国盲学校長会会長 伊藤真三郎
同カプセル委員会代表 本間伊三郎

百年後の視覚障害教育担当者へおくるメッセージ

 いまから数えて百年の後に視覚障害教育を担当されている方々に対し心からの親愛をこめて、このメッセージをおくります。

 全国盲学校長会が盲教育創始百年を記念して行ったこの「タイムカプセル事業」は、わが国の盲学校教育の現状と実態を多角的に把握し各分野、領域毎に集めた資料を収納して毀損することなく、これを百年の後に伝えようとするものであります。

 あなた方が百年の後にこれを開披されて、今日の盲学校教育の姿を、より克明にまた精確に御理解くださることを願ってやみません。さらにこれがあなた方のお仕事の上に少しでも役立つことがあれば望外の喜びであります。

 私共は「温故知新」を生活の信条とし、つねに先人の業績をたずねてその中から多くを学びとってきました。このたび盲教育創始百年を記念する事業の選択にあたり、全会員が期せずしてこの「タイムカプセル事業」を志向したのも、こうした考えに基くものであり、また先人の貴重な研究成果の散逸に苦汁を味わってきたからであります。

 私共は幾度となく討議を尽くし、各地区毎に分野領域を担当して資料を選択し収納の作業にあたりました。しかし、作業日数及び割当容積の制限もあって自己満足できる仕上がりとはなりませんでしたが、どうぞ意のある所をおくみ取りください。

 ところで百年の時の流れのかなたには私共のメンバーは誰一人としてこの世にはいません。またその時に盲学校という教育機関が存置されているものか、盲学校長会の組織が存続されているものか、すべて私共の予測をこえたものです。しかしながら視覚障害者が存在する限りこの人たちへの教育の道が豊かに開かれていることを信じて疑いません。百年の後より崇高な理念のもとに、優れた理論と技術で整備された視覚障害教育の姿を思い描くとき胸のときめきを覚えずにはいられないのです。それだけに創始以来百年の風雪を歩みおえたこの教育を赤裸々にお伝えするのが私共の務めであると考えた次第です。

 視覚障害者に限りない愛情をそそぎ、その幸せと自立のために全力を尽くす。これが百年前から今日まで変ることのない盲学校教師の使命であり倫理でありました。百年後もそうであることを信じ、みなさん方の御健闘を願ってやみません。

 終りにこの事業のために各盲学校の多くの教職員が献身的に協力したことと、京都府立盲学校の絶大な配慮があったことを申添えておきます。ではあなた方とあなた方の教え子たちの御多幸をお祈りして筆をおきます。

さようなら


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