教育的遊戯物
 盲唖院が開設されて、集団的な訓練をほとんど受けたことのない多数の盲児や聾児を一手にひきうけることは、古河にとってはじめての経験でした。しかし開業後20日たらずの間に、古河は次のような遊戯物を考案しています。興味をもたせながら学習させる古河の創造的方法は、今日の教育にも多くの示唆を与えるものです。


16「直行練習場」(掛け軸)


 幅4尺から2尺5寸まで4種いずれも長さ7間半のコースが折り返し平行に作られ、コースの縁に触れると竿の先端につけた風鈴が鳴る仕掛けになっています。風鈴の音の少なさを競わせたそうです。


17 「方向感覚渦線場」(掛け軸)


 盲児の場合、歩行訓練と感覚訓練が目的でした。風や太陽の熱、先生の声などの方向が変化していくことがわからなくてはなりません。先生の号令で自分の方向を言い当てます。


18 「打毬聴音場」(掛け軸)


 屋台に配置された標的(金属、土器、木材など)にボールを投げて当て、材質による音の違いを感覚させました。中央には太鼓を配置してその大きな音を楽しむことも忘れませんでした。

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