成果報告書


 報告書

 実践事例 


           

   「各教科、道徳及び特別活動における ネットワーク活用の在り方について」                     

T 地域の概要

 京都府は、日本列島のほぼ中央に位置し、南北に細長い形をしている。
 北部は日本海に面し、中部の大部分は、丹波高原と呼ばれる山地で、その中を流れる河川の流域に小盆地が点在している。南部には、府内を流れる河川の合流点を要にして、山城盆地が広がっている。
 本研究事業の研究推進協力校6校も北部丹後半島、中部山地、京都市街、南部京阪奈丘陵と異なった地域環境に位置し、それぞれ特色ある学校づくりに取り組んでいる。

U 研究の概要

 1 研究主題

  (1) 研究主題 「各教科、道徳及び特別活動におけるネットワーク活用の在り方について」

  (2) 研究内容

   2 研究経過

   (1)平成9年度

  (2)平成10年度

V 研究成果の概要

【京田辺市立薪小学校】

 1 具体的な授業実践

   (1) インターネットを活用した授業実践

学年・教科

            授  業  内  容


 

国語
 

「ちがいをかんがえてよもう『どうぶつの赤ちゃん』」
 動物のくらしや特徴を知る手段としてWWW上の情報を活用


社会

「むかしをしらべる」昔の道具を調べるためにWWW上の情報を活用



 

社会

 

「ごみと住みよいくらし」清掃工場を見学した内容やインターネットのWWW上の情報などをもとに学習を進め、自分たちの学習した内容を発表する手段の一つとして、薪小学校ホームページで発表








 


社会


 

「米作りのさかんな庄内平野」稲作に関わる一年間の様子を小学生向けに紹介したページや、最近の米作りで農家が工夫されているページを活用

「自動車を作る工業」自動車工場での組み立ての様子や人や環境にやさしい車作りについて、自動車会社が小学生向けに作成しているWWWを活用

理科
 

「天気の変化」天気に関する情報は、WWW上でも手に入れることができることを学習、天気の予想では、全国のライブカメラの画像も活用





 



家庭

 

「健康を考えた食事をしよう」「計画的な食事作りをしよう」「調理の工夫をしよう」
これらの授業実践では、それぞれのめあてにあった料理について材料や調理方法などを本などの情報とあわせてWWW上の情報も活用、「調理の工夫をしよう」では、加工食品について調べるときにも活用
 
   (2) その他の授業実践(コンピュータリテラシー向上やイントラネット的な活用)

   @ 2年生生活科「のりものにのろう」

 遠足や体験学習で学んだことをもとにHTML形式でクイズを作成し、コンピュータ操作に慣れるとともに、学習内容のまとめを行った。

   A 3年生学級活動

 担任の自作ゲームを活用して、マウスやキーボードの基本的な使い方について学習した。

 2 その他のインターネットに関わる取組

  (1) 公式ホームページ

   (2) 「情報委員会」の新設

 3 教職員研修

 4 児童の変容

 5 教職員の変容

【大宮町立大宮第三小学校】

 1 具体的な授業実践

  (1) インターネットを活用した授業実践(平成10年度)





























































 

学年


教科

利用方法及び内容

2年




 




11

 

学活


生活

 

電子メールを利用し、京都市の小学校と1学期の学習の様子について交流する。

「冬の遊び」について、宮崎県や京都市の小学校に電子メールで質問し、電子メールやビデオを利用して教えてもらった。また、世界のお手玉についてインターネットを利用して知る。

3年









 




10


10



10

社会


国語


社会



総合

「わたしたちの町の様子」の学習で地域探検をし、各地区のグループが調べたことを、ホームページにまとめ発信した。

「凧」ついてインターネットを利用して、教師が教材を作成し、提示した。

「わたしたちのくらしとものをつくるしごと」の学習で、宮崎県の小学校とテレビ会議をし、ゆずの生産について教えてもらった。こちらからは、米作りについて説明した。

テレビ会議を利用して、木について交流した。本校からは、ブナの木について調べたことを発表した。

4年











 






12






 

理科


総合

社会


社会


理科
 

本校は、川の上流に位置するので、中流に位置する学校とテレビ会議を利用して、川幅や流れ方などについて交流した。

テレビ会議を利用して、ふるさとの環境を守る視点で話し合いをした。

「低地の人々のくらし」の学習で、輪中などについてインターネットを利用して調べ学習をした。

「雪国のくらし」について、電子メールで質問がきたので、分かっていることを整理し、電子メールで伝えた。

「生き物の一年間」について、課題を決め、調べ学習を進めるときに、インターネットを利用するグループもあった。

5年











 






10




10


社会

社会


総合




理科

社会

各地の伝統工業について、インターネットを利用して調べた。

自動車工業について、自動車会社のホームページから、自動車が製品になるまでを学習した。

テレビ会議を利用して、宮崎県の小学校と「自然の恵み」について交流した。また、本校の児童がブナ林の恵みについて、調査しまとめたホームページについて意見交流した。その意見をもとに、ホームページを修正し、発信した。

天気の学習で、最新のひまわり画像をインターネット上から入手した。

「日本列島の旅」をインターネットなどを利用して調べ、まとめた。
 


6年

 





10


12


 

国語

社会

国語


社会

特別
活動
 

いろいろな俳句についてインターネットを利用して調べた。

「三人の武将と全国統一」の新聞作りの資料をインターネットで探した。

「やまなし」の学習で、他校のホームページで幻灯を見て、それを参考にして、パソコンを使って幻灯を作成した。

議会のしくみについて、インターネットを利用して学習した。

大宮中学校のホームページを見て、中学校の生活について知る。(進路学習)

 
 2 研究の成果

【精華町立精華西中学校】

 1 インターネット活用能力の育成

  (1) 教科及び内容 技術家庭(情報基礎、全学年)

   (2) 目的 ブラウザーソフト利用能力の育成とインターネットそのものの理解。

  (3) 生徒の変容

 世界中の新鮮な情報に居ながらにしてアクセスできることや、美しい映像や音声までも得ることができるインターネットの世界に驚いていた。さらにそうした情報をプリントアウトしたりして利用し、インターネットを活用しての学習に興味・関心を高めた。

   (4) 教師の変容

 生徒のインターネットを利用した学習に対する興味関心の高さと意欲を強くもって学習する姿に、インターネット利用教育の可能性の大きさを感じた。またそれぞれの担当教科、担当分掌においてのよりよい活用方法をそれぞれの教員が考え始めた。

  (5) 成果

 インターネット活用能力の基礎をつけることができ、その後の他教科での利用に結びついた。

  (6) 課題

2 教科での利用(その1)

  (1) 教科及び内容 社会科(1年生)

 学習班を6つに編成し、歴史上の著名人についてレポート作成する。インターネットのWWWにおける情報利用とともに、電子百科事典ソフトを併用した。

   (2) 目的

 教科学習におけるインターネットを利用した情報収集能力と処理能力の育成。

   (3) 生徒の変容

 美しい図版等を豊富に入手することができ、歴史上の著名人についてのレポート作成を意欲的に取り組んだ。その結果、社会科としての学習内容に強く興味関心を持つようになった。

  (4) 教師の変容

 生徒は辞書等の活字メディアよりも、インターネットを利用して調べることに関心を持ち意欲的に学習できることが分かり、インターネット利用教育研究を進めようとする機運が出てきた。 (5) 成果

 活字メディアと電子辞書ソフト等の併用で幅広い学習ができる。また、インターネット接続パソコンは現状の回線(128kbps)では6〜10台が快適に利用するための限度であることが分かった。

  (6) 課題

 インターネットの利点を生かし、その弱点を補う活字メディアや電子辞書ソフトの活用の研究が必用である。さらに、検索エンジンの利用方法の指導、インターネットの特性を生かした場面での活用を考える等研究が必要である。  

 3 職員研修

  (1) 研修内容

 インターネットの概念・ブラウザーソフト・メールソフトの操作方法・インターネットを利用した授業の形態

   (2) 教師の変容と成果

 下表は、本校教職員数13名(非常勤講師を除く)の研究開始直後と現状における、パソコン操作能力とインターネット活用能力の評価である。研究を通じて、職員が研修を積み力量を高めてきたことは明らかである。









 
      評価項目 平成9年4月 平成10年3月
パソコンを操作できる
 
13人中5人
 
13人中13人
 
インターネットのホームページを開いて情報をみることができる 13人中4人
 
13人中13人
 
電子メールが使える
 
13人中2人
 
13人中6人
 
インターネットを利用して授業ができる
 
13人中0人
 
13人中7人
 








 

【和知町立和知中学校】

 1 「総合学習」の指導

 本校では、以下の観点から、情報教育における指導の核として「総合学習」に取り組んだ。

  (1) 指導目標

  (2) 学習課題

  (3) 指導の経過

  (4) 生徒・教職員の変容

 2 授業における活用

 教科での活用については、教科の指導目標に沿ったインターネットの活用方法について、すべての教員で研究実践に取り組んだ。機器の操作方法やWebページの活用方法の研修と合わせて、全員参加による研究授業に取り組んだ。

   (1) Webページからの資料の収集

  (2) 電子メール、テレビ会議システムを通しての交流学習(社会科)

  (3) HTMLによる教材の作成と公開

  (4) 生徒・教職員の変容

 3 交流の広がり

  (1) テレビ会議やホームページを通しての他府県中学校との交流学習

  (2) 電子メールによる国内外中学生との交流

  (3)町内小学校との連係

  (4) こねっとプランプロジェクトへの参加

  (5) 生徒・教職員の変容

 4 その他における活用 (1) 進路指導における活用

  (2) 体験学習における活用

  【京都府立嵯峨野高等学校】

 1 授業への活用について





















 

 教 科・科  目

   活   用   内   容

  備  考

 学 芸・情報処理T

 府立工業高校とのメール交換

平成9・10年度

  〃 ・情報処理U

 テーマを設定しての情報収集

平成10年度

  〃 ・比較文化論

│文化比較のための情報収集

平成9・10年度

  〃 ・外国事情

 課題研究での情報収集

平成10年度

  〃 ・課題研究

 課題学習における情報収集

平成10年度

  〃 ・映像芸術T

 美術館等の情報収集

平成9・10年度

  〃 ・映像芸術U

 ビデオ作品のための資料収集

平成10年度

保健体育・保  健

 グループ学習での情報収集

平成10年度

 芸 術・美  術
 

 外国のホームページから素材収集
 

平成9・10年度
 




















 

 生徒のコンピュータやインターネットの活用について理解が深まるとともに、機器の 活用についての意欲が増した。教員についてもインターネットが身近なものに感じられ るようになった。

 2 進路指導など各種指導への活用

 3 E-mailを利用した交流について

 上記「情報処理」等で実施しており興味深く取り組んでいるが、生徒の自由なメール交換には至っていない。

 4 その他

 中高連携のページについては、ホームページを見た中学生等からのメールでの質問に対してホームページ上で回答するというスタイルをとっているが、平成11年2月1日現在で延べ35件の質問がよせられている。

 また、この取組以前は月1回程度のホームページの更新であったが、この取組によっ て、ほとんど毎週ホームページの更新を行っている。

【京都府立南山城養護】

 1 研究成果の概要

(1) 機器の利用が広まった(文化祭、体育祭でワンボタンスイッチやVOCAの利用)

(2) 全学級紹介のページの発信。

(3) 校内研修会やミニ講習会などで教職員のコンピュータへの意識興味が高まった。  

(4) 校内研修会などで仮校内LANを敷設し、インターネット関連の紹介が出来た。  

(5) イージータイパーを使うH君が自分の名前を打つことができるなど、補助機器は児童生徒にとってもわかりやすく非常に有効であった。  

(6) 個人情報保護についてはガイドラインに基づいて慎重に実践している。  

(7) 情報室のコンピュータ及び第一職員室、第二職員室のネットワークができ、合計6台の端末機を接続した。  

(8) 文化祭展示や城陽養護学校のホームページの電子掲示板の利用などパソコンの利用が増えた。  

(9) 中間発表の資料をホームページで公開した。

W 研究上の問題点と今後の研究計画

 1 各教科等におけるネットワーク活用

(1) 各教科等での活用については、多くの教科で実践が進められつつある。全体計画の中での情報教育(ネットワーク活用)の位置付けや授業改善の視点からの活用方法の研究が今後更に必要である。

(2) 全教員がコンピュータや情報通信ネットワークを活用した指導できるようにする必要がある。校内研修を充実させるとともにT・Tによる授業等も研究する必要がある。    

 2 学校間ネットワークを活用した交流や連携

 3 学校の情報発信の在り方

 学校の情報発信にあたっては、個人情報の取り扱いや著作権、肖像権等に関する研究がさらに必要である。

4 校内研修の在り方

(1) 継続的にネットワーク管理やホームページの作成・更新が行えるような校内体制づくりと校内研修の充実が必要である。

(2) 研修した内容を深め習熟するため、校内LANの整備等日常的にインターネットが活用できる環境が望まれる。