は じ め に
大阪府内の小学校での痛ましい事件から約2年半が経過した平成15年12月18日、宇治市立小
学校に侵入した不審者が2人の児童を傷つけるという衝撃的な事件が再び発生しました。
本府教育委員会は、今回の事件を重く受け止め、大阪府の事件直後の平成13年7月に発行し
た「幼児児童生徒を凶悪な事件から守るための手引」を早急かつ抜本的に見直すこととし、市町
村教育委員会連合会、PTA、校(園)長会、京都府警察本部など、関係団体・機関の意見をお聴
きし、この改訂版を作成しました。
学校(園)の課題は、都市部と農村部、また、校種によってそれぞれ異なりますが、子どもたち
の安全確保を図るためには、まず、学校(園)がそれぞれの学校安全計画の中に危機管理に関す
る内容を盛り込み、これを踏まえて、日常及び緊急時に具体的に対応できるよう、必要事項や手
順等を示した学校(園)独自の危機管理マニュアルを充実させることから始めなければなりません。
そこで、今回の改訂版では、学校(園)がそれぞれの安全確保・安全管理対策を見直す上での
要点を詳述するとともに、学校(園)独自の危機管理マニュアルの作成例を示しました。いわば学
校(園)でのマニュアルづくりのためのマニュアルです。
しかし、学校(園)独自のマニュアルを作成することが危機管理の到達点ではありません。校
(園)長はもとより教職員全員が、「いつ、どこでも起こりうるのだ」という危機感を持ち、防犯訓練な
どを通じてマニュアルを見直し、実効性の高いものに改善していくことが重要であり、この手引にお
いてもその点を特に強調しているところです。
「危機管理意識の高揚と危機管理体制の確立」の両面から本手引を十分に活用していただき、
学校(園)が子どもたちにとって真に安心できる場所になることを願います。
目 次
■はじめに
■本手引の活用のしかた
■第T章 学校の危機管理の在り方
1 学校での危機管理の意義
(1)危機管理の定義
(2)学校における危機管理の目的
(3)学校における危機管理の体制づくりの意義
(4)学校安全計画と危機管理
2 学校における危機管理の進め方
3 危機管理の視点
4 学校及び関係機関・団体等の役割
■第U章 幼児児童生徒を凶悪な事件から守るための要点
1 日常の学校生活における安全確保・安全管理
(1)校内体制の確立
(2)防犯教育・防犯訓練の実施
2 保護者・地域社会との連携
(1)学校の安全を守るための連携
(2)地域社会との具体的な連携方策
3 日常の学校生活における安全確保対策
(1)来訪者への対応
(2)校内巡視体制の強化
(3)登下校時の安全確保
(4)校外学習等における安全確保
(5)安全に配慮した学校開放
(6)学校施設面における安全確保
4 不審者侵入時の危機管理体制の確立
(1)学校における危機管理体制の確立
(2)緊急時の対応における留意点
■第V章 学校独自の危機管理マニュアルの作成について
○○小学校の危機管理マニュアル
■第W章 幼児児童生徒を凶悪な事件から守るための点検項目例
■参考資料