子どもいきいきサポート推進プラン
(改定・追加)



◆ プラン策定の趣旨
 教育を取り巻く環境が大きく変化する中、家庭に引きこもったり、学校に登校できない子どもたちの問題が顕在化してきました。
 こうした子どもたちが、豊かな心をもち、たくましく生き、生涯にわたって学び続ける基盤を培うという観点に立って、小学校から高等学校までの12年間を見据えた不登校の解決に向けて、具体的な施策を策定し、京都府における教育改革を着実に推進します。


◆ 現状と課題

 【不登校とは】
  • 不登校とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により児童生徒が学校に登校しない、あるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)。」をいいます。
  • 不登校児童生徒数とは、4月から翌年3月までの1年間に30日以上、上記の状況で学校を欠席した児童生徒数のことです。
  • 平成18年度に京都府教育委員会が実施している主な施策は、別紙のとおりです。
 

【現状と課題】
(京都府及び全国における不登校児童生徒数の状況)
  • 京都府の小中高等学校における不登校児童生徒数は、表1のとおり減少していますが、小中学校においては、児童生徒全体に占める不登校児童生徒の割合は、全国平均よりも高い状況にあります。
<表1>                                              
 
校種 年度
京都府 全国
P(A) O(B) (A)−(B) P(A) O(B) (A)−(B)
小学校 548
(0.40)
571
(0.42)
△23
(△0.02)
22,709
(0.32)
23,310
(0.32)
△601
  (0)
中学校 1,933
(3.15)
1,979
(3.20)
△46
(△0.05)
99,546
(2.75)
100,007
(2.73)
△461
(0.02)
高等学校 310
(0.85)
320
(0.85)
△10
  (±0)
59,419
(1.65)
67,500
(1.82)
△8,081
(△0.17)
(単位:人)
  • ( )内は、児童生徒全体に占める不登校児童生徒の割合(%)
  • 平成17年度不登校児童生徒数は速報値
  • 京都府の小中学校については公立の学校、高等学校については府立高等学校全日制の数値

(平成17年度不登校児童生徒の状況)
 
  • 学年別にみると、表2のとおり小中学校においては学年が進むにつれて多くなっており、特に、中学校1年生で大きく増えています。
  • 学年別にみると、表3のとおり小中学校とも学年が進むにつれて多くなっており、特に、中学校1年生で大きく増えています。
<表2>                                              
小学校 中学校 高等学校
1年 2年 3年 4年 5年 6年 1年 2年 3年 1年 2年 3年
P 28 49 73 94 133 171 408 712 813 154 120 36
O 30 70 70 85 142 190 452 748 779 161 118 41
(単位:人)
  • 高等学校においては、不登校が中途退学や進級できないことに結びついて いるという現状があります。
  • 平成17年度不登校生徒310人中、115人が中途退学、65人が進級することができない状況にあります。
 

(不登校児童生徒の相談状況)
 
  • 児童生徒の不登校になる要因・背景が多様で複雑化していることなどから、表3のとおり多くの相談がスクールカウンセラーにあります。
<表3>                                                
年  度 P O N M
相談件数 小中 16,582 16,536 11,639 7,922
高校 1,631 1,704 1,687 1,598
(単位:件)
※ 京都市は除く。

□ 施策の基本方向
  1. 不登校や不登校傾向にある児童生徒の状況を次の3つに分けて、それぞれの児童生徒の状況に応じた施策を展開
  • 「学校に登校できるが教室には入りにくい児童生徒」
  • 「外出はできるが学校には登校できない児童生徒」
  • 「家庭にひきこもり傾向の児童生徒」
  1. 相談体制・機能の充実
  • 不登校の要因が複雑化する中、不登校の未然防止や早期解決を図るため、児童生徒、保護者、教職員等が相談できる体制・機能の充実を図ります。
  1. NPO等の民間施設との協働による教育活動
  • 不登校児童生徒が通う民間施設への支援の充実を図ります。
  1. 高等学校における柔軟な教育システムの構築に向けた研究

□ 重点施策
特に、平成19年度については、府内市町村教育委員会と協議しながら、次のことを推進します。
◇ 児童生徒の状況に応じた学習支援等

〈学校に登校できるが教室には入りにくい児童生徒〉
  1. 「相談室等における学習支援や相談活動」の充実
  • 小中学校については、相談室等で学習支援や相談活動を行う「心の居場所サポーター」等の配置を拡充
  • 高等学校については、相談室等で生徒の学習を支援するサポーターを配置

〈外出はできるが学校には登校できない児童生徒〉
  1. 「学校と民間施設との協働」の促進
  • 不登校児童生徒が通う民間施設との新たな協働システムを構築するため、京都府独自の認定制度の創設
  • 民間施設における学習や体験プログラムの開発等の研究を継続
  • 不登校対策充実に向けた学校、民間施設等との交流の推進
〈家庭にひきこもり傾向の児童生徒〉
  1. 家庭学習への支援の強化
  • 家庭におけるIT等を活用した学習支援の拡充
  • IT等を活用した学習を進めるためのWeb教材等の研究開発

◇ 「相談体制・機能」の充実
  • 中学校・高等学校のスクールカウンセラー配置の拡充
  • 不登校児童生徒支援の中核となる教員の養成による校内支援体制の整備

◇ 高等学校における柔軟な教育システムの構築
  • 学ぶ意欲と能力がありながら、既存の学習形態になじみにくい生徒に、社会性と確かな学力を身に付けさせるため、教育課程、学習内容や指導形態等を弾力化した「柔軟な教育システム」を、地域バランスに配慮しながら全日制課程に導入することを検討


(別紙)
平成18年度に京都府教育委員会が実施している主な施策
(相談体制の充実)
事業名 内容
スクールカウンセラーの配置
  • 中学校、高等学校に臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置
  • 生徒、保護者、教職員への助言・援助
  • 中学校100校・高等学校15校に配置
トータルアドバイスセンター教育相談事業
  • 府総合教育センター及び北部研修所で実施
  • 児童生徒、保護者、教職員への助言・援助
  • 電話、来所及び巡回による教育相談

(不登校対策の充実)
事業名 内容
心の居場所サポーター配置事業
  • 学校に登校できるが教室に入りにくい児童生徒に対し、相談室等で相談・学習支援を行う心の居場所サポーターとして小学校28校・中学校20校に配置
スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業
  • 不登校児童生徒の早期発見、早期対応などきめ細かな支援を行うための中核的機能の充実
  • 教育支援センターにおいての学習支援、相談活動の実施
  • 9市町に委託
民間施設連携支援事業
  • 民間施設において、学校等の連携や学習・体験活動プログラムの開発等についての実践研究を4施設に委託
ふれあい宿泊学習
  • 「南山城・るり渓少年自然の家」を活用した不登校及び不登校傾向にある児童生徒に対する宿泊体験活動の実施
不登校児童生徒へのIT等活用家庭学習支援事業
  • ITを活用し、メールによる相談や学習教材の提供による学習支援
  • 家庭訪問を通じて学習シート等による学習支援や相談活動を実施
  • 5市に委託

(長期欠席者特別入学者選抜)
 多様な志願者に対して様々に配慮した特別選抜を充実する一環として、高校で学ぶ能力や意欲があるにもかかわらず、中学校在学中に不登校等の理由により、長期に欠席した生徒を対象に、特別に中学校の評定を資料として用いない選抜を実施

実 施 校 課 程 学科・類 (類型) 募集人員
朱雀高校 全日制 普通科第T類・U類(文理系) 10名程度
城陽高校 10名程度
西舞鶴高校 5名程度

平成18年12月
京都府教育委員会


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