まなび教育推進プラン


プラン策定の趣旨
教育を取り巻く環境が大きく変化する中、子どもたちが豊かな心をもち、たくましく生きるためには、自ら考え、主体的に判断し、表現したり行動したりすることができる資質や能力を身に付けることが大切です。
そのため、生涯にわたって学び続ける基盤を培うという観点に立って、基礎・基本を徹底して「確かな学力」の向上を図る取組や不登校の解決に向けた取組についての具体的な充実策を策定し、京都府における教育改革を着実に推進します。

◆「確かな学力」の向上
□ 現状と課題
【確かな学力とは】
○ 「確かな学力」とは、自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動 し、よりよく問題を解決する資質や能力です。
これらは、学校はもとより家庭での学習習慣の定着を図ることにより、一層確かなものになります。

○ 「確かな学力」の向上を図る上で、考える力、想像する力、表現する力、これらを支える語い力等の国語力はその基盤となるものであり、その育成を図る取組が重要です。

○平成17年度に京都府教育委員会が実施している主な施策は、別紙のとおりです。
【現状と課題】
(国語力の育成)
○本府が実施している小学校基礎学力診断テスト及び中学校学力診断テストにおいては、基礎学力はおおむね定着していますが、国語科はもとより、他教科においても必要となる「文章を読み、論理的に考えたり表現したりする力」に課題がみられます。

○平成16年度発表の経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)結果において、読解力が低下傾向にあると指摘されています。

○児童生徒の国語力を育成するためには、平成16年2月の文化審議会答申において、「国語教育の充実」と「読書活動の推進」が必要とされています。

○「朝の読書」や一斉読書の広がりから、子どもの読書離れに歯止めがかかってきていますが、今後一層の読書活動の活性化を図るためにはさまざまな取組が大切です。
(家庭における学習習慣の定着)
○平成17年7月に実施したアンケート結果から、学年進行とともに定着が求められる家庭での学習習慣が、表1のとおりに十分定着していない状況が見られます。

  <表1>(単位:%)
学年 平日、家庭学習の時間 家庭学習をしない理由
ほとんどしない 30分より少ない やる気がしない 学習の仕方がわからない
小学4年生 3.6 12.8 25.1 13.8
中学2年生 15.9 17.5 56.8 17.0

○家庭における学びの充実を図り、学校と家庭が協力して、児童生徒に学ぶ習慣を身に付けさせることが大切です。                                                                                   
(子どものための京都式少人数教育の推進)
○ 義務教育9年間を見通して、学年の特性や児童生徒の発達段階に即して、一 人一人の児童生徒に確かな学力を定着させることを目指し、「子どものための京都式少人数教育」を推進していくための必要な教員を配置しています。児童生徒、保護者等に実施したアンケートにおいても、高い評価を得ています が更に工夫改善に努めることが大切です。

(小学校低学年指導充実)(単位:%)
  2人の先生がいるので安心感がある。
そう思う ややそう思う あまり思わない そう思わない 無記入
保護者 62.7 27.5 6.4 1.0 2.4

(京の子ども・少人数教育推進)(単位:%)
 
少人数授業はよくわかる
そう思う ややそう思う あまり思わない そう思わない 無記入
小学4年生 44.2 32.8 15.3 5.5 2.2
中学2年生 32.3 39.3 20.5 6.9 1.0
□ 施策の基本方向
1確かな学力の基盤となる「国語力」の育成
学校教育と社会教育が一体となった読書活動の推進を図るとともに、学校教育において、国語科はもとより、教育活動全体を通じて児童生徒に考える力や表現力などを培う取組を充実します。

2家庭における学習の習慣化
学習習慣を定着させ自ら学ぶ力の育成を図るため、授業時間外において、学校内外での学習支援を充実します。

3子どものための京都式少人数教育のより一層の推進
学校や児童生徒の状況に応じたより効果的な少人数教育を充実します。
□重点施策
1特に、平成18年度においては、府内市町村教育委員会と協議しながら、次のことを推進します。
◇児童生徒に確かな学力の基盤となる国語力の育成を図るため

1学校教育と社会教育が一体となった読書活動の推進
○NPO等民間団体と連携した取組を実施
○子ども読書絵てがみコンテストを充実
○読書活動の気運を盛り上げるキャンペーンを推進
○全小中学校において、朝の読書等の一斉読書の取組を推進

2学校図書館等の機能の充実
○司書教諭を全小中学校に配置することを推進
○学校図書館支援ボランティアの養成や研修を実施

3児童生徒の表現力と理解力の育成
○アナウンサーや作家等言葉に関する専門家を学校に派遣
○音読・暗唱大会等を実施
○子ども記者による新聞づくり等を実施

◇児童生徒に学習習慣を定着させ自ら学ぶ力の育成を図るための取組の推進

◇児童生徒の基礎学力の定着と学力の向上を図るため

子どものための京都式少人数教育による、学校や児童生徒の状況に応じたより一層効果的な少人数教育の充実
2引き続き、次のことについて検討していきます。
◇児童生徒に学習習慣を定着させ自ら学ぶ力の育成を図る取組の推進について検討する。

◇学校や児童生徒の状況に応じたより効果的な少人数教育の充実について検討する。

不登校総合対策
□現状と課題
【不登校とは】
○不登校とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により児童生徒が学校に登校しない、あるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)。」をいいます。

○不登校児童生徒数とは、4月から翌年3月までの1年間に30日以上、上記の状況で学校を欠席した児童生徒数のことです。

○平成17年度に京都府教育委員会が実施している主な施策は、別紙のとおりです。
【現状と課題】
(京都府及び全国における不登校児童生徒数の状況)
○京都府における不登校児童生徒数は、表1のとおり減少していますが、児童生徒全体に占める不登校児童生徒の割合は、全国平均よりも高い状況にあります。
 
校種 年度
京都府 全国
16年度(A) 15年度(B) (A)-(B) 16年度(A) 15年度(B) (A)-(B)
小学校 571
(0.42)
596
(0.44)
△25
(△0.02)
23,310
(0.32)
24,077
(0.33)
△767
(△0.01)
中学校 1,979
(3.20)
2,058
(3.22)
△79
(△0.02)
100,007
(2.73)
102,149
(2.73)
△2,142
(0)
合計 2,550
(1.29)
2,654
(1.33)
△104
(△0.04)
123,317
(1.14)
126,226
(1.15)
△2,909
(△0.01)
※( )内は、児童生徒全体に占める不登校児童生徒の割合(%)
※ 平成16年度不登校児童生徒数は速報値です。
(平成16年度不登校児童生徒の状況)
○平成16年度不登校児童生徒の10月1日から10月31日までの状況を3つに分けると表2のとおりであり、「学校に登校できるが教室には入りにくい児童生徒」の割合が高い状況にあります。

<表2>(単位:%)
 
学校に登校できるが教室には入りにくい児童生徒 外出はできるが学校には登校できない児童生徒 家庭にひきこもり傾向の児童生徒
小学校 87.4 4.3 8.3
中学校 79.3 5.9 14.8
(京都市を除く。)

○学年別にみると、表3のとおり小中学校とも学年が進むにつれて多くなっており、特に、中学校1年生で大きく増えています。

<表3>(単位:人)
年度 小学校 中学校
1年 2年 3年 4年 5年 6年 1年 2年 3年
16 30 54 70 85 142 190 452 748 779
(不登校児童生徒の相談状況)
○不登校児童生徒数は減少傾向にありますが、相談室や保健室(以下「相談室等」という。)で指導や相談を受けた児童生徒は、表4のとおり増えています。

<表4>(単位:人)
  小学校 中学校
年度 不登校
児童数(A)
相談室等登校児童数(B) (B)÷(A)×100 (%) 不登校
生徒数(C)
相談室等登校生徒数(D) (D)÷(C)×100 (%)
14 347 77 22.2 1,079 142 13.2
15 320 99 30.9 1,047 154 14.7
(京都市を除く。)

○児童生徒の不登校になる要因・背景が多様で複雑化し、表5のとおりスクールカウンセラーへの相談件数も増えています。

<表5>(単位:件)
年度 14 15 16
相談件数 7,922 11,639 16,536
(京都市を除く。)
  
 
□施策の基本方向
1不登校や不登校傾向にある児童生徒の状況に応じた支援
不登校や不登校傾向にある児童生徒の状況を次の3つに分けて、それぞれの児童生徒の状況に応じた学習支援等の充実を図ります。

・「学校に登校できるが教室には入りにくい児童生徒」
・「外出はできるが学校には登校できない児童生徒」
・「家庭にひきこもり傾向の児童生徒」

2相談体制・機能の充実
スクールカウンセラーへの相談件数が増加するとともに内容が複雑化していることから、児童生徒、保護者、教職員等が相談できる体制・機能の充実を図ります。
□重点施策
1特に、平成18年度については、府内市町村教育委員会と協議しながら、次のことを推進します。 
1「相談室等における学習支援や相談活動」の充実
○小中学校に相談室等で学習支援や相談活動を行うサポーターを配置

2「学校と民間施設との連携」の促進
○民間施設において、学習や体験プログラムの開発等を研究する施策を拡充

3「相談体制・機能」の充実
○全中学校にスクールカウンセラーを配置
○中学校については、不登校生徒数の多い学校に、スクールカウンセラーの配置時間を拡充
○高等学校については、スクールカウンセラーの配置校を拡充
○府総合教育センター及び北部研修所にスーパーバイザーの配置を拡充
2引き続き、次のことについて検討していきます。
◇不登校や不登校傾向にある児童生徒の状況に応じた支援について検討する。

◇相談体制・機能の充実について検討する。

別紙
平成17年度に京都府教育委員会が実施している主な施策
《確かな学力の向上に係る施策》
事業名 内容
京都夢・未来校の指定 △基本教科等に焦点化し、指定校において先進的な研究実践、教材開発・作成、研究発表等を実施
指定校数…小学校13校 中学校12校 計25校
小学校基礎学力診断テスト △基礎的・基本的な内容が身に付いているかを把握し、結果を分析することにより授業改善を促進
実施教科:国語、算数
実施学年:第4学年、第6学年
中学校学力診断テスト △教科のねらいとしている内容が身に付いているかを把握し、結果を分析することにより授業改善を促進
実施教科:国語、数学、英語
実施学年:第2学年
子どものための京都式少人数教育推進 △小学校低学年指導充実
○小学校1・2年生で2人の教員による指導
○配置については、30人を超える学級を基本とするが、各学校の状況に応じて弾力的に運用
△京の子ども・少人数教育推進
○原則として、小学校3年生以上及び中学校で、児童生徒の実態に応じた指導を行うため、少人数授業・ティームティーチング・少人数学級を市町村教育委員会の選択に応じ て実施できるように教員を配置
△全中学1年生英数少人数教育実施
○中学校1年生における英語・数学の基礎学力の定着を図るため、30人を超える学級において、少人数教育が実施できるように教員を配置
子ども読書絵てがみコンテスト △子ども読書の日(4月23日)の啓発
△子どもたちが読んでおもしろかった本や読んでもらった本の感動・印象を絵や言葉で表現した作品をはがきで募集
子どもの読書活動推進フォーラム △子どもの読書活動の重要性に対する関係機関や職員保護者等の役割についての理解の促進と意識の高揚
△府内5会場(各教育局ごと)で開催
《不登校総合対策に係る施策》
(相談体制の充実)
事業名 内容
スクールカウンセラーの配置 △中学校、高等学校に臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置
△生徒、保護者、教職員への助言・援助
△中学校97校・高等学校11校に配置
トータルアドバイスセンター教育相談事業 △府総合教育センター及び北部研修所で実施
△児童生徒、保護者、教職員への助言・援助
△電話、来所及び巡回による教育相談
(不登校対策の充実)
事業名 内容
さわやかサポート事業 △大学生や地域の人をさわやかサポート相談員として小学校に配置
△学校に登校できるが教室には入りにくい児童に、相談室等において学習支援や相談活動を実施
△小学校28校で実施
スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業
△不登校児童生徒の早期発見、早期対応等きめ細かな支援を行うための中核的機能の充実
△教育支援センターにおいての学習支援、相談活動の実施
△9市町に委託
民間施設連携支援事業 △民間施設において、学校等の連携や学習・体験活動プログラムの開発等について実践研究
△4施設に委託
ふれあい宿泊学習 △「南山城・るり渓少年自然の家」を活用した不登校及び不登校傾向にある児童生徒に対する宿泊体験活動の実施
不登校児童生徒へのIT等活用家庭学習支援事業 △ ITを活用し、メールによる相談や学習教材の提供による学習支援
△家庭訪問を通じて、学習シート等による学習支援や相談活動を実施
△5市に委託

平成17年12月
京 都 府 教 育 委 員 会

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