6月13日(水)、みらい学T・第2弾「臨床心理学入門」の取り組みを行うために、特別講義「こころの働きと人間関係―臨床心理学への招待」を受けました。講義を行ってくださったのは、京都大学大学院教育学研究科教授の藤原勝紀先生です。
この講義の2週間前に、「心理学」についての事前学習を行いました。8グループに分かれ、藤原先生があらかじめ与えてくださった5つの課題「心理学の歴史」「臨床心理学とは」「心の病気」「心の発達過程」「心の構造」をグループ内で手分けして調べ、「心理学」の基礎知識を習得しました。また、「引きこもりから自立を考える」というテーマでグループ内討論を行いました。
事前学習 | 自分たちで考え、学びます。 |
学習1:テーマ別調べ学習 与えられた5つのテーマを、グループ内で担当者を決めて個人個人で調べました。各自が調べた内容をグループ内で発表していきます。自分の調べたことをきちんと他人に話せるか、また他の人が調べた内容を聞いて新しい知識と、自分が調べた内容とどう関わってくるかを再度考えます。 お互いに調べた内容を交換しあって5つのテーマ全ての知識を習得しました。さらに習得した知識を元に心理学について、自分の考えを纏めました。 学習2:「引きこもりから自立を考える」を読んで 講義をして下さる藤原先生が書かれた「引きこもりから自立を考える」を読み、一体何が引きこもりの原因になっているのか、どうすれば引きこもりにならないのか、また引きこもりから脱却できるのか、引きこもりになった人に対して自分は何ができて何をしなければならないのかなど、実に様々なことを考え、グループ内で話し合いました。 |
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講義内容 | 難しい内容を、わかりやすく説明してくださいました。 |
エッシャーの「ルビンの杯」や朝日と昼間の太陽の大きさの違いなどの錯覚が、人間の内面にどのような関わりをもつのかを考える。「太陽自身は同じ大きさで時間帯によって大きさが変化しないが、感覚として朝日と真昼の太陽は同じ大きさとは言い難い」のは客観的には同じでも、受け取る人の主観によってその内容は変化する。この差は人間が物事を物理的に見るだけではなく心の目ともいえるものでも見ているのではないかと考えられる。このようなことを学問として考えるのが心理学の一部分である。 その中で「臨床心理学」は心の領域から人間関係を考える学問である。他人にとっては大したことのない内容でも当人にとっては重要視される。このような差違がその人自身の個性や特徴となると考えられるが、それはどのようにして成り立っているのだろうか。それは、心には知識や常識などの部分とその人自身にのみ価値のある部分があり、その両方をまとめたものが「私」としての在り方となるのではないかと考えることができる。 さらに自分の中には3人の「私」がいると考えることができる。感情などの主観的な私と、逆に客観的な私と、それらを纏める「自我」の私。ここでいう「自我」とは心理学では「2種類の私と外的要因を上手に纏める私のこと」である。この自我を育むには様々なことに取り組み3人の私がどのように関係していくかを学ぶことが1つ挙げられる。 |
講義の後は、
「こころには知性からくる気持ちと、感情からくる気持ちと、それらをまとめる気持ちがあるとわかりました。」
「心理学とはかなり身近にあるものだと感じました。」
「内容は難しかったけれど、楽しく聞くことができました。」
などの感想がありました。
講義の内容や事前学習をもとに、生徒たちは第2回研究発表に取り組みます。今回の内容は、「知性と感情」「人が悩むとは」「心をつかった人間関係」「カウンセリングの効き目」の4つのテーマから一つを選んで発表します。発表方法はポスターセッション方式を用います。どのテーマも内容が難しいですが、生徒たちは新しいことを知る喜びを胸に励んでいます。