▼教育相談シリーズ 不登校A 「不登校への対応」
不登校の子どもへの家庭訪問 〜子どもの「こころ」に会いに行く〜
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子どもが登校できなくなると、教師は家庭訪問して子どもと会うことになりますが、その際、訪問する側の教師の「訪問の目的」が曖昧になってはいませんか?どのような目的で教師が子どもに会いに行っているかということが大変重要です。家庭訪問の目的が連絡物や家庭学習用のプリントを届けるための事務的なものあれば、ただ単に顔だけ見せに行くこともあるでしょう。親との面談を目的に家庭に出向くこともありますし、子どもに次の日の登校を促しに行くこともあります。また、子どもの学習に付き合ったり、一緒に何かして遊んだりということもあるでしょう。話好きの親が在宅されていると、ついつい親とだけ面談してしまって時間が過ぎていくということもありがちです。
しかし、登校できない子どもへの家庭訪問で、最も大事なことは、まず校内チームで分担をして「子どもの『こころ』に直接会いに行く」担当者(担任)をつくる、そしてその担当者を校内でサポートするということです。
学校に行けないという辛さは、副次的にも「みんなから遅れてしまう」という孤独感や疎外感を強め、不安や焦りをつのらせます。登校できない辛さはなかなか口に出すことはできないので、子どもにとって計り知れないほど大きな不安や心の緊張となって自分を脅かすものとなります。
登校できなくて、苦しくて、やせ細って怯えているその「こころ」に会いに来てくれる教師のメッセージは、その時にはすぐに届かなくても、必ず子どものこころに響いているはずです。
迷ったり悩んだりしている子どもの辛さ、苦しさに添いながら、温かいメッセージを届けてくれ、いつもいつも自分のために会いに来てくれる教師に、必ず「こころ」を動かしてくれるものです。
直接会いに行っても子どもがそれを断ったり嫌がったりすることもあります。子どもと面と向かって真剣に話すなどということはまずできませんから、学習プリントなどの道具とか、その子の好きな遊びなどを媒介としてよいわけです。
むしろ断ったり嫌がったりする気持ちが表現できたことの方が、その子にとって大きな意味をもつこともありますから、拒絶したり嫌悪感をもっている、その「こころ」に教師は関わりをもとうとすることが大事です。
「こころ」を使って会うということは、教師にとっても大変なことです。教師も無理をすると長く続けることができません。ですから校内のチームでその担当者を支えることが必要です。「5分だけ」とか「玄関先で」というように、時間や場所に区切りをつけ見通しをもったほうが、お互いに楽に会えることもあります。
必ずこうしないといけないなどと決して思わず、また子どもの内的世界に無理に入りこもうとしたり、逆に遠慮がちになりすぎたりしないよう、適度な心理的距離を保ちながら、少しずつ子どもの「こころの窓」を子どもと一緒に探し、関わりをもち続けることが大事です。
登校できなくなると、その時は毎日のように会いに行きますが、登校できない状態が長く続くとだんだん足を運ばなくなってしまうこともあります。そうなると、子どもは教師に見捨てられたような感じをもつこともあり、家庭訪問が逆に子どもの「こころ」にとって、マイナスにはたらいてしまうこともあります。
教師は少なくとも1年間くらいは同じように会いに行くペースで、子どもの「こころ」と会い続けることが必要です。